▼セレクトセール2018 当歳馬最速診断 リオンディーズ編(No.319、463、514)完

現役時の走りに納得感を生む意外な血統背景

▼リオンディーズ 牡5

父 キングカメハメハ
母父 スペシャルウィーク
2013年1月29日生まれ 黒鹿毛

優先祖先 Bold Reason(1968)
適性馬場・距離 芝orダートの中距離
基礎体力 47(平均50)

 

まずはリオンディーズの血統背景から。

種付け時の2012年は、ちょうど父キングカメハメハ劣性期
よってリオンディーズは、遺伝上も母シーザリオの仔であることがわかります。

 

今年衝撃的な新馬デビューを飾った半弟サートゥルナーリア(父ロードカナロア)の紹介記事(キャロットC編)にも書いたように、シーザリオはMAX活性の種牡馬を2頭持つ血統構成です。

中でもわずかに活性の高いのが3代父のSadler’s Wells(1981)で、次点は4代父のHabitat(1966)。
よって優先祖先を探るのも、Sadler’s Wells経由となります。

父キンカメとの活性差により、本来なら優先祖先は母シーザリオから5世代さかのぼったところに位置するNorthern Dancerでしたが、残念ながらこの年は劣性期

よって真の優先祖先は、サドラーの母・Fairy Bridge(1975・鹿毛)というのが結論です。

 

Fairy Bridgeも2戦2勝のまま引退した牝馬で、相当な力を秘めていたようですが、そのFairy Bridgeの優先祖先が父のBold Reason(1968・鹿毛)だと聞くと、やはり「?」と勘ぐりたくなります。

つまりリオンディーズに一番影響を及ぼしている祖先は、Fairy Bridgeを経由した先のBold Reasonということになるのです。

Bold Reasonは米国馬で、ケンタッキーダービーこそ3着に終わったものの、G1トラヴァーズSなど7勝し、種牡馬になりました。
産駒にはさほど大物がおらず、どちらかといえばサドラーの母父である点が一番有名だったりします。

 

リオンディーズの現役時代の走りと結論は一致するか

 

実はこの結論に達したとき、私の中では一瞬「あ〜、やっぱりな」というひらめきがありました。

 

というのもクラシック路線で距離伸びるごとに、リオンディーズはやや先行暴走気味に脚を使う場面が目立っていたのを思い出したからです。

確かに2歳時の朝日杯FSでは、後方一気で切れ味を見せた感もあります。
しかしあれはやはりマイル戦での戦法(しかも相手はエアスピネル1頭)であり、本来は3歳時に見せた先行からの持続力勝負で、ダート10ハロン祖先の力を十分に発揮していた?とみるからです。

もちろん当時鞍上のM・デムーロはそんなことを知る由もありませんが「切れより持続力」の馬だとは思っていたかもしれません。
私は今になって、あの時はあの乗り方でよかったのではないか、と思い始めています。

 

今回ご紹介する3頭の産駒たちは、みながみな、そろってこのBold Reasonを優先祖先に持ちます。
よって産駒はストレートにダート馬になる可能性もあります。

今年の当歳はリオンディーズが中性期の産駒。
これからリオンディーズ自身の活性が強まることで、タイプの違う馬も当然出てくるでしょうが、残りの近い優先祖先の可能性は、サドラーとリオンディーズ自身ですから、やはり切れより持続力勝負の産駒が多くなりそうです。

 

この仔が一番スピード寄り?ダート馬にならずに済むか

 

▼No.463 スターウインドの18

18年2月28日生まれ 牡 黒鹿毛
父 リオンディーズ
母父 マンハッタンカフェ

 

【診断結果】

・優先祖先 Bold Reason

・馬場、距離適性 芝orダートの中距離

・基礎体力値 47(平均50)

・頭脳 普通

・総合 ★★★(満点は5つ)

 

スピードサイクルは初期のとてもいい位置にいるので、この仔がダートしか走らなかったら、ほとんどの仔がダートを走る目に遭うのでは、そんな気さえしています。

 

本馬にもまたまた出ましたサンデーの4×3クロスですが、こちらはスペシャルウィークがサンデーのゼロ活性産駒なので、無効扱いでOKです。
残るNorthern Dancerクロスも父系のサドラー、母系のアンテイツクヴアリユーともにMIN期にあたり、ほとんど影響ないと思われます。

惜しいのが2代母チェイスザウインドが母スターウインドゼロ活性を与えてしまった点です。
これはMAX体力も考えられた年に痛恨の失敗でしょう。

ギリギリ平均点の基礎体力は残しましたが、もしここがMAXなら当歳のリオンディーズ産駒で最もおもしろい存在になったと思います。

 

姉でスピードは証明もやっぱりダート中距離馬か

 

▼No.514 ユキノマイの18

18年2月14日生まれ 牡 芦毛
父 リオンディーズ
母父 ロックオブジブラルタル

 

【診断結果】

・優先祖先 Bold Reason

・馬場、距離適性 ダートの中距離

・基礎体力値 52(平均50)

・頭脳 普通

・総合 ★★(満点は5つ)

 

牝系はチリ産であまり聞かない馬たちですが、6つ上の姉にスカイパッション(父スペシャルウィーク)がいて、芝の千二を走れるくらいの潜在スピードは保証できます。

 

2代母エスカニアがチリのG1ウィナーで、まだ産駒には恵まれませんが、日本で産んだ初仔の母ユキノマイは競走成績は散々だったものの、繁殖リズムは合格と判断できます。

 

その母につけたリオンディーズは、他の代の種牡馬たちと活性値が近すぎて、本馬はあまり賢さは感じられません。
またわずかにNorthern Dancerクロスも残りますし、精神面には課題がありそうです。

スピードは中程度。ダート馬に出ても文句は言えないレベル。

ただノーマークの牝系でも、サイクルさえ合えば走る仔が出るという証明にはなります。

 

出た!2匹目のドジョウはここにいたのか!

 

▼No.319 アドマイヤフッキーの18

18年1月31日生まれ 牡 黒鹿毛
父 リオンディーズ
母父 フジキセキ

 

【診断結果】

・優先祖先 Bold Reason

・馬場、距離適性 ダートor芝の中距離

・基礎体力値 88(平均50)

・頭脳 普通

・総合 ★★★(満点は5つ)

 

先日、1歳馬セール3600万円で売却された、私のイチオシダート馬候補、シラユキの17の叔父にあたる近親です。

おかげさまで(上場してもいないのに?)シラユキの17はかなり粘っこいセリによってジワジワと値が上がり、1000万スタートだったのがとうとう最後は3600万に。
スマートファルコンなら2000万くらいかと思ったけど、やっぱ天下のセレクトだけあるわ…」と妙な感心をしていました。

あそこで馬を買うには、やはり5000万円はほしいですね。
推奨した馬にバンバンお声がかかってとても嬉しかったです。

 

いらぬ皮算用はおいといて、要するに叔母シラユキも本馬も、母アドマイヤフッキーのサイクルにハマる産駒です。

しかも基礎体力が今回のセール中No.1の88!
スピードは中程度に過ぎませんが、これなら地方でも楽しい馬主ライフを送れそう。
中央なら1000万下(来年からは2勝馬クラスに名称変更?)中山の千八あたりでコツコツやってほしいです。

 

というわけで、新種牡馬の当歳産駒はすべて見終わりました。
これからグリーンCHの録画を見ながら、答え合わせが楽しみです。

昨晩は1歳馬セリの模様(録画)を確認し、一喜一憂。
馬はとても難しいです。間違いも結構ありました。
このシリーズを書いている最中にも新たに2つのことに気づきがあり、今後の検討に活かしていくつもりです。

また今年の検討資料を清書し保管して、来年の資料にします。
ようするに毎年同じ(似た系統)繁殖の産駒が上場するケースがほとんどですから、無駄にならないんですね。
検討も2度目からは、うんとはかどるはずです。

今後、毎週金曜日には「新馬戦速報」をお届けできたら、と思っています。
これからは再び無理のないペースで更新します。

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