▼東海S2019 インティ、チュウワウィザードら新興勢力の血統背景と将来像

フェブラリーSの前哨戦となる東海Sに、今年注目の新興勢力が出走を予定している。

1頭は条件戦を5連勝中のインティ(牡5・父ケイムホーム)、そしてもう1頭が暮れの交流・名古屋グランプリを制したチュウワウィザード(牡4・父キンカメ)。

どちらもダートでは全く底を見せておらず、前哨戦で当ててしまうのがもったいないほどの好カード。

東海Sは中京の1800というタフなコースで行われるため、本番よりはややスタミナ重視の血統馬が好走する傾向にあるが、さてこの2頭の血統背景はどのようになっているのだろうか。

 

インティ(牡5・父ケイムホーム・栗毛)

Fast Line 1958
 Fairway Fun 62.4.8 3.22〜5.22
  Fairway Fable 71.4.25 き× 4.9〜6.9
   Northern Fable 78.4.13 き○ 3.27〜5.27
    Haiati 85.2.28 き○ 2.14〜4.14
     Haleakala 93.3.24 ぐ× 3.7〜5.7
      フォレストキティ 01.4.1 ぐ○ 3.15〜5.15
       キティ 06.4.1 き○ 3.15〜5.15
        インティ(初) 14.4.8 ぐ○ →OK
     Blue Burner 99.1.23 ぐ○
    Oil Fable 86.4.4 ぐ○ 3.18〜5.18
     Cara Rafaela 93.3.30 き○
   Affirmative Fable 81.5.5 ぐ○ 4.19〜6.19
    Majmu 88.2.26 き×

【優先祖先】 2代母フォレストキティ〜Kris(1976)
【基礎体力】 78

 

ケイムホーム産駒のOP馬は本当に珍しく、たとえば2010年にはタガノトネール(武蔵野S勝ち)、サウンドリアーナ(ファンタジーS勝ち)という2頭の重賞勝ち馬を輩出しているが、実はこの2頭ともが父ケイムホームの劣性期産駒。

よって本当の意味で自身を優先とした産駒の中では、いまだ外国にしか重賞勝ち馬がいないことになる。

いっぽう、2016年産駒のカシノティーダは2歳九州産馬限定のOPひまわり賞の勝ち馬だが、これはケイムホーム自身のMAX活性産駒であり、配合にさえ恵まれればスピードを活かした産駒が出ることの証左であろう。

 

そこで今回のインティだが、どのような縁があって母キティに(しかも初仔として)ケイムホームを種付けしたのかはわからないが、ここまでの種牡馬成績を見た上であえての決断であるとしたら、これはもう彗眼としか言いようがない。

種付けをした2013年、父ケイムホームはれっきとした優性期だったが、母の血の中では4代前の大種牡馬Kris(1976)がMAX活性であり、実際の優先探しは父ではなく、母系をさかのぼる。

それはインティの毛色が栗毛であることからもなんとなく予想がつく。

 

Krisは欧州の一流芝馬で、自身はマイラーだったものの、産駒は世界中でさまざまなタイプの競走馬として大成功し、母の父としても優秀な成績を収めている。

今回インティが2代母フォレストキティからこのKrisの影響が強い馬だとわかったので、距離は本質的に千八まで、ダートなら軽めの湿ったダートが走り頃のスピードタイプではないかと考えられる。

なんなら府中の千六はドンピシャかもしれず、形さえ整えば芝も走っておかしくない素地がある。

 

基礎体力はMAX活性こそないものの、代々非常に優秀な数値を継承し、合計で78という頑強さ。

確かにここまでのキャリアでは全くレースを使い込めておらず「体に弱いところでもあるのか?」と勘ぐりたくなるかもしれない。

が、馬体の形からくる弱いところはいざ知らず、基本的にパンとすれば連戦も問題ない体質の持ち主で、これから本当の充実期に入る逸材だろう。

 

あえて血統的な難点を申せば、まずスピードサイクルの後半期に種付けされた産駒であること、そしてミスプロのクロスがかなり強く残存することの2点がある。

つまり単純なスピードレベルでは軽々G1クラスとはいえないので、G1制覇までには展開等の助けが欲しいし、ミスプロの強いクロスが今後たとえば連戦後の精神面で影を落とす可能性(イレ込みや煮詰まり、体質面のダウン)もあるだろう。

 

チュウワウィザード(牡4・父キンカメ・青鹿毛)

フアンシミン 67.4.21 4.5〜6.5
 フアンシーダイナ 78.2.2 き× 1.16〜3.16
  ダイナフエアリー 83.4.30 き(×) 4.14〜6.14
   セプテンバーソング 91.5.5 ぐ○ 4.19〜6.19
    オータムブリーズ 98.2.18 き× 2.4〜4.4
     チュウワブロッサム 07.1.17 き(×) 12.31〜3.3
      チュウワウィザード 15.4.19 ぐ○ →OK

【優先祖先】 母オータムブリーズ〜サンデー
【基礎体力】 ★88

 

こちらはインティとは180度異なり、血統を語らせたらスラスラ論じられる名門フアンシミン系の出身。

4代母はあの名牝ダイナフエアリーであり…ね、もうわかるでしょ?
活躍した近親がごまんといる系統である。

 

キンカメに関してはインティと同様、優性期でありながら母系にもっと強い影響馬がいる配合で、チュウワの場合は母父デュランダルが最も活性が高い。

で、本来なら優先をデュランダルまでさかのぼるということは、本馬も毛色が栗毛であったり、距離適性がマイルまでであったりするのだが…。

 

よく見ると、キンカメの種付けが14年の5月つまり父13歳と2か月あたりだったのに対して、デュランダルの種付けは06年の2月つまり父7歳と9か月ほど(まだ8歳になっていない!)でしかないことがわかる。

よってキンカメはプラス2α、デュランダルはマイナス3αほどの活性補正が必要となり、合計では半年ほどの大きな活性差を考える必要が出てくる。

これにより何が言いたいかというと、本馬チュウワウィザードには栗毛以外の可能性とマイラー適性以外の可能性がグンと広がった、ということだ。(ひとつ下の全妹はやはり栗毛であるようにあくまで可能性の話)

事実本馬はデュランダルの父サンデーに近い青鹿毛馬であり、距離にも何ら不安がない。
よりサンデーの現役時によく似たタイプとも言える。

 

栗毛云々ならその上の2代母父ティンバーカントリーもいるけど、と思うかもしれないが、実はティンバーカントリーはその父Woodmanのゼロ活性馬で、遺伝的要素を持たない。

以前日本でティンバーカントリーの芝馬が多数生まれたのもその辺に答えがあるはずで、これは覚えてくといいだろう。

 

本馬の最大の武器は膨大な基礎体力。

チュウワブロッサムは2代母オータムブリーズMAX活性産駒で、したがって本馬の体力合計値はなんと★88。

体力的問題にはまずぶち当たらない高い資質の持ち主で、このまま順調ならG1タイトルを獲れる可能性もある。

スピードサイクルも前半に配合され、インティよりは上質のスピードを継承しているはず。

 

配合上唯一惜しいのが、Northern Dancerのクロスがけっこう残ることで、パッと見ても父母合計で4本のクロスがある。

しかしこれも確かに父系キンカメ由来のNorthern Dancerは強いのだが、母系はサワヤカプリンセスにしろ、ダイナフエアリーにしろ、さほど強いNorthern Dancerは継いでいない

また先ほどのティンバーカントリーの件で申し上げたとおり、ミスプロのクロスに関してはゼロ扱いになるので、現代の配合としては十分考えられたギミックがある。

 

今後もデュランダルの高活性をどう扱うかで、本馬とは全く異なる栗毛のマイラーやスプリンターが出やすいファミリーだろう。

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