▼奇跡の障害馬オジュウチョウサンの驚くべき血統評価

一度調べてみたかった障害絶対王者の秘密

今年もファンの夢を乗せて世界各地の平地競走転戦が予定されているオジュウチョウサン(牡8・父ステイゴールド)。

障害馬であったため、これまでは彼の血統表を細かに分析したことがなかったのだが、ここまで規格外の競走キャリアを歩んでいるサンプルをみすみす逃すことはなかろうと、今回オジュウチョウサン自身と(たくさんいる)その全きょうだいについて比較検討してみた。

中でもなぜオジュウ1頭が奇跡のスーパーホースであり、きょうだいたちはそうではなかったのか…これは本フェデリコ・テシオ理論が「全きょうだい」というものをどう見ているかという点にも深く関わってくる。

 

オジュウチョウサン(牡8・父ステイゴールド・鹿毛)

Tarara 1960
 シアラ 70.4.8 3.22〜5.22
  サシマサンダー 78.3.10 ぐ○ 2.24〜4.24
   ユーワジョイナー 90.5.4 ぐ(○) 4.18〜6.18
    シャドウシルエット 05.5.7 き(×) 4.21〜6.21
     ケイアイチョウサン 10.2.11 き× →OK
     オジュウチョウサン 11.4.3 ぐ○ →OK
     ワンパクチョウサン 12.4.9 き○ →BAD
     コウキチョウサン 13.4.28 ぐ○ →OK
     シャトウチョウサン 14.4.5 き○ →BAD
     ラッキーチョウサン 15.5.7 ぐ○ →OK11日

まずはいつもの通りスピードサイクルから。

4代母シアラが輸入基礎牝馬。

3代母サシマサンダーからはユーワフォルテ(父ミルジョージ・1985年生 6戦5勝の未完の大器。900万特別勝ち後に格上挑戦で新潟大賞典を勝った素質馬)、そして2代母ユーワジョイナーからはアルアラン(交流長距離ダート重賞2勝)、その娘マンハッタンを通じてメトロノース(北海道2歳優駿勝ち)などの活躍馬を出している。

いずれにしろ根っから距離的不安が少ないファミリーで、この辺はオジュウの一族にもよく受け継がれている。

 

シャドウシルエットには、ステイゴールドまたは近年オルフェーヴルのみが選ばれ、配合され続けている。

全兄ケイアイチョウサンはラジオNIKKEI賞の勝ち馬で(これは自分も馬券を取った。福島でノリチャンのどん尻強襲決まる)、菊花賞でも5着にふんばるなど3歳時に活躍したが、クラス再編成後は条件戦で低迷、成長力はイマイチだったか。

全弟のコウキチョウサンは逆にジワジワと力を付けたタイプで、現在は同じく1600万下の身ながら現役で格上挑戦の長距離レースに使われることが多い。

活躍したきょうだい3頭はサイクル上もきちんと表と裏の関係にあり、3頭ともにOK判定

とくに年仔であるケイアイとオジュウがきれいに○×に分かれている点には注目しておきたい。

なお15年生まれのラッキーチョウサンもOK判定(しかもMAX活性産駒)だが、活躍馬と比べてサイクルの後半11日あたりの種付けと時期が遅く、競走成績からみても「実際はサイクルを外れた」BAD判定の可能性まである。

 

さてオジュウを含めたこの3頭は、血統表で見ると全く変わらない全きょうだいであり、これまでの血統論ではその違いを明白にすることが不可能であった。

テシオ理論では

▼父の活性値のちがい
▼母の基礎体力継承値のちがい

によって、3頭の優先祖先と基礎体力にどのような揺れが出てくるか、3頭は本当はどんな馬なのかがわかるはず。

さっそく調べてみよう。

 

基礎体力は弟が有利

シャドウシルエットは4歳時種付けの初仔がケイアイチョウサンだったので、基礎体力に関しては弟になるほど値が大きく、15年産駒ラッキーチョウサン(14年種付け)までは増え続けている。

・ケイアイチョウサン 63
・オジュウチョウサン 66
・コウキチョウサン 72

母系祖先にMAX活性こそないものの、現役生活を送るのには何ら不安のない値で、このへんは3頭の長い競走キャリアにもよく現れている。

 

優先祖先は興味深い結果に

次は優先祖先の決定。
ステイゴールドの種付け時活性値は、MAXを8(中間が4)として

・ケイアイチョウサン 7
・オジュウチョウサン MAX8
・コウキチョウサン 2

ということで、まず一番弟のコウキチョウサンだけが「母似」の産駒であることがわかる。

母系の2代から4代までの父の活性値は

2代父 シンボリクリスエス 5+α
3代父 ミルジョージ 4
4代父 ネヴアービート 1

シンボリクリスエス1月生まれの種牡馬で、母シャドウシルエットの種付け時(6月7日頃)にはすでに5歳と約5か月経過していた計算になるので、活性値は5よりも少し多く調整する必要がある。

よってステイゴールドの活性値とシンボリクリスエスの活性値の差は3世代と少し(5−2=3)+αなので、弟コウキチョウサンシンボリクリスエスのラインを4世代たどることで、Gold Meridian(1982・芝12ハロン)が優先祖先であるとわかる。(3世代目のTee Kayでもよい。彼女の優先祖先がGold Meridianなので)

 

次に父似の2頭を見ると、父ステイゴールドと2代父シンボリクリスエスの活性差は

ケイアイチョウサン 7−(5+α)=1世代と少し
オジュウチョウサン 8−(5+α)=2世代と少し

よって優性の父系だけをさかのぼり、

ケイアイチョウサン → ステイゴールド
オジュウチョウサン → サンデーサイレンス

が優先祖先予想の1番手になる。

プラスαをどう見るかで個々の判断は変わってくるが、もしプラスαも加えるなら

ケイアイチョウサン → サンデーサイレンス
オジュウチョウサン → Wishing Well(1975)

となる。

実際のケイアイチョウサンが現役時440〜50キロそこそこで走っていた小柄な馬であること、また顔に流星等がないことも考慮し、ケイアイはステイゴールドの方が優先(オジュウは500キロからある馬体ときれいな流星、脚の白=サンデー)なのではないかとしておく。

いずれにしろここで強調しておきたいのは、

▼オジュウチョウサンには距離延びていい要因があまりない

という点だ。

 

オジュウは距離適性で障害を跳んでいたのではない?

オジュウチョウサンは平地競走わずか2戦で見切りを付け、1年の休養のあとに障害デビューした馬だ。

ところが面白いことに、その全く走らなかった平地競走2戦の成績欄に、オジュウの血統的本質を表すデータがある。

2013.10.19 2歳新馬 東京1800 1分54秒3(0.8) 11着
2013.11.16 2歳未勝利 東京2000 2分2秒9(1.8) 8着

オジュウはデビュー戦こそどん尻から脚を使って0.8秒差に詰めているのだが、すべての面(距離含め)で上積みがあったはずの2戦目は逆にほとんど脚を使えず大差負けしている。

もちろんこれは当時の状態面に不安があったせいかもしれない。
しかし今回血統面を詳しく分析した結果、

▼オジュウは平地競走のままではいずれ距離的不安を露呈した可能性も捨てきれない

という結論に達した、その最たる証ではないかと考えたのだ。

 

スターとなった奇跡の障害馬だから、今後さらに生い立ちや成長の記録が明らかになるかもしれないが、今のところオジュウの能力値の大多数は後天的な鍛錬によるものと思えて仕方がない。

 

まあわずかに先天的なポイントとしては、先ほどの

父 ステイゴールド 8
2代父 シンボリクリスエス 5+α
3代父 ミルジョージ 4
4代父 ネヴアービート 1

という代々の父たちの活性値がすべて異なること、またサンデーはHaloのゼロ活性馬であることから、5代血統中にクロスがひとつもないアウトブリード扱いになり、頭脳的にはスッキリと晴れ渡った明晰さを持っている可能性が高いこともあるのだが…。

よく理解し、納得し、自分の仕事を全部わかった上でムダな力を使わない賢さがあって、今の地位まで登り詰めたということだろうか。

 

今回オジュウチョウサンのテシオ的血統分析をしてみて、それでもなお真相がわからないスーパーホースがいるのだと改めて認識した次第である。

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