▼新馬戦10馬身差圧勝のカフェクラウンは強いのか

ダートの強そうな馬は調べてみたくなる

カフェクラウンの検証の前に。

3歳クラシックの有力候補グランアレグリアサートゥルナーリアは、ともに本番直行のローテと決まった。

グランアレグリアは基礎体力に不安がない馬だが、サートゥルナーリアに関しては(理由はともかく)、直行ローテはそう悪い話ではない。

あとは本番までにどのくらい強力なライバルが現れるか。
もちろん対抗馬は「基礎体力に不安のない順調に使えている組」になることはいうまでもない。

 

さて話を戻して…

3歳ダート戦線にまた1頭、新馬をぶっちぎりで勝つ馬が現れた。
その名は、カフェクラウン(牡3・父Mineshaft)。

すでにあまたの名馬を手に入れたオーナーが温めていたであろう「クラウン」という名をここで使ってきたことを考慮しても、陣営の期待はハンパなものではなく、一考に値する。

今回はこのカフェクラウンを血統的に解説していきたい。

 

基礎体力次第で名馬が生まれるファミリー

▼(外)カフェクラウン(牡3・父Mineshaft・鹿毛)

【優先祖先】 父 Mineshaft
【基礎体力】 53

On the Trail 1964
 Tobacco Trail 69.4.19 4.3〜6.3
  Hidden Trail 75.4.14 ぐ○ 3.28〜5.28
   アイドリームドアドリーム 87.3.31 ぐ○ 3.14〜5.14
    エアデジャヴー 95.3.27 ぐ○ 3.10〜5.10
     エアメサイア 02.2.4 き× 1.18〜3.18
    エアシャカール 97.2.26 ぐ○
 Regal Road 71.3.28 3.11〜5.11
  Unending Love 90.5.12 き× 4.26〜6.26
   Quiet Trail 94.3.20 ぐ(○) 3.3〜5.3
    Two Trail Sioux 01.4.29 き× 4.13〜6.13
     カフェクラウン 16.3.13 き(×)
 Andover Way 78.4.11 3.25〜5.25
  My Annette 96.3.23 ぐ○ 3.6〜5.6
   Homesman 14.5.26 ぐ(○) →18豪コーフィールドC2着

ファミリーのスピードサイクルは大変読みやすく、きれいな順のサイクルを描いている。

 

5代母On the Trailがすばらしい繁殖で、日本ではエアデジャヴーエアシャカールきょうだいを、また昨年の豪コーフィールドカップで2着したHomesman(セン5・父ウォーフロント)を出すなど、現代競馬においてもいまだ強い影響力を保っている。

Homesmanは基礎体力が高く、自身のキャリアもまだまだこれからの叩き上げといった感じだが、エアシャカールなどはあまり体力に恵まれておらず、3歳時の活躍からすると古馬になって物足りない成績に終わったのも少し納得できる。

 

カフェクラウンに続く分枝も、体力面にはあまり見るべきものはない。

ただ母Two Trail Siouxとクラウン自身が良い年回りに生まれており、親子2代だけで基礎体力の大部分を補って、ようやく平均値までもってきた形だ。

またカフェクラウンのスピードそのものもサイクルの後半に位置するため、他馬を蹴散らすようなスピードは望めず、総合力で勝負するタイプと思われる。

 

父はアドマイヤムーン型の名馬

・父 Mineshaft 活性値8 MAX

・母 Two Trail Sioux

母父 Indian Charlie 活性値5
2代父 Quiet American 活性値7
3代父 Dixieland Band 活性値1

 

Two Trail Siouxは12戦6勝着外わずか1回という大変堅実な馬で、2代父Quiet Americanの影響が強いダート馬だった。

こういう繁殖には普通何を付けてもQuiet Americanに引っ張られてダート馬になるもので、実際今までの兄妹6頭のうち、Quiet American以上に活性の強い種牡馬が付けられたことはわずかに1回しかない。

その1回が09年生まれのCheyenne Passという馬で、これは米国で9勝を挙げるなどまずまずの成績。

それ以来となる「父活性優先馬」が今回のカフェクラウンというわけだ。

 

Cheyenne Passは(セン馬だけど)父Smart StrikeMAX活性年の産駒で、優先祖先もSmart Strike

そしてカフェクラウンも父MineshaftMAX活性年の産駒。

よってQuiet Americanとの活性差=世代差が1なので、優先はMineshaftとなる。

 

このMineshaftという馬は、アドマイヤムーングランプリボスらと同様、4代前までに優性期の種牡馬が付けられていない「女系」種牡馬で、それでいてなぜこのような名馬が現れるのか、正しい優先祖先はどのあたりになるのか(どの牝馬といってもよいが)とても不思議なところだ。

 

心配なのはミスプロの高濃度クロス

5代血統表に浮かび上がるクロスはミスプロだけなのだが、実はこれがかなり濃い。

 

父の母Prospectors Deliteはミスプロの活性値を0.5しか継承していないが、母系のQuiet AmericanFappianoのMAX活性産駒)は、

1.5×2(MAX)×1.75=5.25!

と強烈で、父方にミスプロが来た瞬間、なにか悪さをしてもおかしくないレベルにある。

 

Northern Dancerのクロスがないことは評価できるのだが、いかにも今の米国産馬が抱えそうな悩みを最大限抱えている感じで、残念ながら精神面は天才と狂気が紙一重で存在している可能性が否めない。

 

カフェクラウンの総合評価

【スピード】☆☆☆★★
【基礎体力】☆☆★★★
【クロス】 ☆☆☆☆★

3歳時にスターダムへ駆け上がってしまうと、そこから先は案外伸び悩む仔かもしれない。

使い込むより休養明け初戦が狙い目で、レースっぷりも揉まれずスンナリが条件になりそう。

ちょっと線が細いですかね。残念。

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