▼シーザリオ一族がここまで繁栄した血統的理由は産駒がすべて○○だったから

サートゥルナーリアで思い出した一族の不思議を紹介

毎週の競馬についていけてない現状なので、今はゆっくりとした話題でお茶を濁しておりますが、昨日久々にサートゥルナーリア皐月賞直行の話題が出ましたので、よい機会と思い、母シーザリオのファミリーについてまとめることにします。

なお、昨年サートゥルナーリアのデビュー前にちょっと記事を書きましたが、今回の内容が最新版と思っていただいてかまいません。

 

シーザリオファミリーの全スピードサイクル

Pia 1964
 Principia 70.5.20 5.3〜7.3
  Querida 75.3.14 き× 2.28〜4.28
   キロフプリミエール 90.4.15 き× 3.29〜5.29
    シーザリオ 02.3.31 ぐ○ 3.14〜5.14
     トゥエルフスナイト 07.5.2 き× →ぎりOK
     ヴァイオラ 08.4.22 ぐ× →ぎりBAD
    ★エピファネイア 10.2.11 ぐ× →ぎりBAD
     ロザリンド 11.2.3 き× →ぎりBAD
     クローディオ 12.2.8 ぐ× →ぎりBAD
    ★リオンディーズ 13.1.29 き× →OK
    ★グローブシアター 14.2.14 ぐ○ →ぎりOK
     シーリア 15.3.17 き○ →BAD
    ★サートゥルナーリア 16.3.21 ぐ○ →OK
     シーザリオの17 17.5.1 き× →OK
     シーザリオの18 18.4.28 ぐ× →BAD

 

繁殖キャリア前半のシーザリオ産駒はとにかくぎり判定の馬が多く、リオンディーズまでは毎年判定がOKかBADかで悩むところでした。

ただリオンディーズ以後は比較的わかりやすく、サートゥルナーリア以後も今年デビュー予定の17年産駒はOKで、来年の18年産駒はBADと出ています。

出世頭エピファネイアについては、ぎりBADながらわずか3日しかサイクルを外れておらず、その後の活躍を見てもサイクルの超初期に配合され良質のスピードを継いでいることがわかります。

 

シーザリオ産駒が父似になることはない?

▼シーザリオ
母父 スペシャルウィーク 活性値6
2代父 Sadler’s Wells 活性値8プラスα MAX
3代父 Habitat 活性値8 MAX
4代父 Le Fabuleux 活性値 MAX or ゼロ?

ご覧のように、母シーザリオは前4代のうち3代の父がMAX活性の年に種付けされた可能性があり、それぞれすさまじい影響力を誇ります。

中でもタッチの差で最も活性有利と思われるのが2代父Sadler’s Wellsであり、母や産駒の距離適性もすべてここから先の祖先で生まれています。

Habitatでは全部マイラーだし、Le Fabuleuxは6月種付けでゼロ活性の可能性の方が大きい)

 

このような母にただ漫然と種付けをして「父似の産駒」を出すことは、ほぼ不可能に近いです。(可能性としてはMAX活性最後半というニッチな種牡馬を種付けすればあるいは…)

つまりシーザリオは生まれながらにして「母似の産駒しか産めない」繁殖牝馬という運命を背負っていたのです。

ところがその母自身が偉大なG1馬になったわけですから、産駒たちはOK判定でありさえすれば自然と母に似た形と高い能力を受け継ぐことになります。

ある意味、生産者にとってこんなに扱いやすい繁殖はいないんですね。

 

ちなみにこれまでのシーザリオ産駒を父の活性値&優先祖先で並べてみると、

トゥエルフスナイト 黒鹿毛 活性値5
ヴァイオラ 青鹿毛 活性値6
エピファネイア 鹿毛 活性値2 Lalun(1952)〜Djeddah(1945)
ロザリンド 黒鹿毛 活性値3
クローディオ 鹿毛 活性値5
リオンディーズ 黒鹿毛 活性値3 Bold Reason(1968)
グローブシアター 黒鹿毛 活性値4 Fairy Bridge(1975)
シーリア 青鹿毛 活性値5
サートゥルナーリア 黒鹿毛 活性値7 シーザリオ
シーザリオの17 栗毛 活性値7 シーザリオ
シーザリオの18 鹿毛 活性値6 キロフプリミエール(1990)

前半の産駒は総じて父の活性値が低い馬が多く、優先はSadler’s Wellsのかなり古い祖先までさかのぼる必要がありました。

しかしグローブシアターくらいから父にも活きのいい高活性馬が配合されるようになり、ついには母シーザリオが優先となるサートゥルナーリアが生まれたわけです。

 

エピファネイアはLalunという米ダート牝馬の影響が強い馬ですが、この馬自身は父Djeddahという欧州芝馬の影響を受けています。

Lalunは単に米国で走ったためダート路線で活躍したのかもしれませんし、その根っこはやはり芝馬なのではないかと考えます。(距離適性は10ハロンくらいでよい感じ)

反対にリオンディーズは優先が米国ダート路線の王道を走ったBold Reasonですので、切れよりもスピードの持続力で勝負するアメリカンスタイルと考えられ、先行暴走気味の皐月賞でも大崩れしなかったあのしぶとさこそ、彼の真骨頂ではなかったかと考えます。

 

そして以前にも申し上げましたが、サートゥルナーリアロードカナロア産駒でありながらここまで距離不安を一切見せないのは、ひとえに彼が母シーザリオ似であるから。

さすがにダービーまで万全とはいいませんが、日米オークス馬の息子として恥じないレースをしてくれそうです。

 

まとめと蛇足

今回の結論

▼シーザリオ一族がここまで繁栄した血統的理由は産駒がすべて母似だったから

偉大な母とはまさにこのことですね。

 

なお蛇足として、シーザリオの17が栗毛である不思議を、以前私なりに「栗毛種牡馬のテレゴニー」などともったいぶって解説してみました。(けっこうアクセス数ありました)

その後シーザリオの4代父Le Fabuleux(栗毛)がMAX活性?かもしれないこと、またエピファネイアの優先にも関係するDjeddahが栗毛であることから、現在では確率こそ低いものの、わずかに栗毛が生まれる因子もありそうだな、と思っています。

そしてこれこそ、エピファネイアたちの優先がSadler’s Wells祖先であることの証明になっているのではないか、と。

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