▼ドバイワールドカップ2019 三つ巴?も伏兵多し 先行絶対有利の馬場がカギを握る

サンダースノーの体力面が優れていることは昨年検討済み

まずは昨年のブログから。

…実力は定かではないが、体力値(63〜)から一発あるなら2位のサンダースノー(牡4・UAE・父Helmet)あたりか。

この馬、2歳時には仏でG1勝ち、3歳時のUAEダービーでは日本のエピカリスを破るなどかなり早くから活躍したのだが、ちょっと精神的に煮詰まることがあるらしく、たまに「謎の凡走、逸走」なども引き起こしている。

というのも、父Helmetという馬がしつこいほどNorthern Dancer系を集結して生まれた種牡馬であり、母系と合わせると5本のクロスを生じているコテコテのインブリード馬だからだ。

現地UAEとの相性はいいみたいなので、調整さえうまくいけば食い込んでおかしくない。

ほぼ毎週競馬ナビ 2018.3.28号より

…というのが昨年のレース前の見立て。

もしこのディフェンディングチャンピオンを負かす馬がいるなら、今年がWC初参戦の馬だろうということ、また脚質的に先行タイプでないと辛そうという2点から、今回はキャッペッザーノを取り上げてみる。

▼キャッペッザーノ(セン5・父バーナディーニ・UAE)

【 繁殖サイクル 】

FIRST FLUSH
 Copper Canyon 65.4.20 4.4〜6.4
  Insilca 74.5.15 き× 4.29〜6.29
   Silken Doll 80.4.11 ぐ○ 3.25〜5.25
    Silken Cat 93.3.25 き(×) 3.8〜5.8
     Speightstown 98.2.1 き×
     Cableknit 07.3.31 ぐ○ 3.14〜5.14
      キャッペッザーノ 14.3.17 き(×)

サイクルはお世辞にもきれいとは言えないが、祖母Silken Catの仔に産駒が絶好調のスペイツタウン(1998)がいるので、祖母とキャッペッザーノ自身だけが予定日からズレた誕生だったのでは、と推察できる。

【 基礎体力 】

1.5+1.25+1.0+1.25=5.0 →63

サンダースノーと同程度の基礎体力があり、昨年12月からすでに4戦しているものの、ここまでは展開(逃げ楽勝)にも恵まれているので、そこまで消耗しているとは思えない。

【 優先祖先 】

父 バーナディーニ 2003 活性値2

母父 アンブライドルズソング 1993 活性値5
3代父 ストームキャット 1983 活性値1
4代父 CHIEFTAIN 1961 活性値2

父バーナディーニ劣性期につき、母父アンブライドルズソングの母・Trolley Song(1983)が優先。

Trolley Songも母似の馬で、祖母のLucky Spell(1971)が芝ダート兼用の重賞勝ち馬だったので、その資質を受け継いだ様子。

つまりキャッペッザーノ自身にも軽いダート、またはUAEならオールウェザー等の適性がありそうということになる。

ただしLucky Spellの距離適性は9ハロンくらいが妥当(いちおう11ハロン2着の経験はあり)でややスピード寄りなので、力勝負になった場合に淡泊な負け方をする危険はあるだろう。

もっとも、逃げ馬はみな淡泊ではあるが…。

【 クロス濃度 】

▼ボールドルーラー
父方 1.75×0.25=0.4375
母方 1.5×0.5=0.75

▼セクレタリアト
父方 0.25
母方 1.25

▼バックパッサー
父方 0.5
母方 0.5

▼ファピアノ(≒ミスプロ)
父方 2.0×1.5=3.0
母方 0.25×1.25=0.3125

▼Northern Dancer
父方 2.0
母方 2.0×1.25×0.25=0.625

基礎体力に問題はないものの、これだけクロスが集合すれば、気性的には難しいところが出て当然。

したがってセン馬になるのも自然の成り行きか。

日本ゆかりの血統ヨシダはどうなのか

ケイティブレイブは厳しそうなので、代わりにヨシダではどうなのか軽く調べてみよう。

▼ヨシダ(牡5・父ハーツクライ・JPN)

【 繁殖サイクル 】

Aunt Tilt 63.4.13 3.27〜5.27
 Lost Virtue 77.5.20 ぐ× 5.3〜7.3
  Full Virtue 81.2.17 ぐ× 2.3〜4.3
   Trick Trick 92.3.10 き(○) 2.24〜4.24
    Executricker 98.3.16 ぐ(×) 3.2〜5.2
     ヒルダズパッション 07.3.13 き○ 2.27〜4.27
      ジークカイザー(キャロ) 13.1.26 ぐ×
      ヨシダ 14.2.24 き○
      ヴェルテアシャフト(キャロ) 15.3.4 ぐ○ →?
      シェドゥーヴル(キャロ) 16.2.19 き○
      ヒルダズパッションの17 17.2.13 ぐ○ →?

きょうだいはキャロットCに行くことが多く、まずまずの成績だが、母本来のポテンシャルはこんなものではないだろう。

とくに暴れん坊で一躍有名になった現3歳のシェドゥーヴル(父オルフェーヴル)はMAX活性2回継承の強者(★★72)だから、復帰後のパフォーマンスが楽しみ。

【 基礎体力 】

1.5+2.0+1.25+0.5=5.25 →★66

ヒルダズパッションもG1ウィナーで、祖母ExecutrickerからのMAX活性を競走に活かした牝馬だ。

シェドゥーヴルほどではないにしろ、ヨシダも基礎体力にはよいものを持っている。

【 優先祖先 】

父 ハーツクライ 2001 活性値4

母父 Canadian Frontier 1999 活性値7+α
3代父 El Prado 1989 ゼロ活性
4代父 Clever Trick 1976 活性値7

Clever Trickよりも母父Canadian Frontierの活性値がわずかに1か月程度高いので、優先はCanadian Frontierの母・Borodislew(1990)になる。

このBorodislewという馬も、なんとフランス、ドイツ、アメリカで走ったことのある芝ダート兼用馬で、芝でひとつ、ダートで3つの重賞を勝っている。

しかもそのほとんどが8.5ハロン近辺のレースで、ヨシダの特性が丸々この牝馬から来ていることは間違いなさそうだ。

【 クロス濃度 】

▼Northern Dancer
父方(ハーツ) 1.75×1.25=2.1875
母方 0.75×1.75×0(El Prado)=0

この際ハーツクライのNorthern Dancerはかなり濃いことを覚えておかれるといいだろう。

母方の3代父El Prado自身はサドラーの濃い血を継いでいるが、幸いこの年はゼロ活性。したがってヨシダにもNorthern Dancerクロスの弊害はなく、アウトブリード扱いでよい。

つまりヒルダズパッションには生きたNorthern Dancerがない、と覚えておくといいだろう。(あくまで5代までの話。6代目にはヌレイエフ経由のNorthern Dancerがあるにはある)

【 結論 】

勢いに勝ればキャッペッザーノの戴冠もあり。ヨシダは距離適性が?

例年に比べるとレベル的には?がついて、各馬にチャンスがあると思われる。

こういう年に挑戦なら日本馬も、とは思うが、果たして…。

▼ドバイワールドカップ2019 三つ巴?も伏兵多し 先行絶対有利の馬場がカギを握る」への4件のフィードバック

  1. 「き○」のシェドゥーヴルが重要な位置付けだと仰っていましたが、骨折してしまいましたからね…復帰戦私も楽しみにしています。

    その次のヒルダスパッションの17は相当出来が良いとの評価で募集時は大人気でした。(牝馬では1番人気だったと記憶してます)

    それだけにBAD判定となってしまって残念ですが、今後どうなるのか注目してみていきたいです。

    すみません、この「テシオ理論」について私のSNSで引用させていただきたいと思っているですが、こちらのブログ(ほぼ毎週競馬ナビ)と合わせて書かせていただいても大丈夫でしょうか?

    文章など転載することはありません。

    何卒お願い申し上げます。

    1. わにさん、いつもコメントありがとうございます。

      ヒルダズパッションの17については、まだまだOK判定の可能性もあると思います。

      例えるなら、もし会員さん同士の指名競争が激しければ今年はお譲りして、私は他のOK馬にしようかな〜くらいの心境で、いきなりBADと決めつけるのは早いかもしれません(というわけで?表示)。

      私見では、当歳の頃から馬体が良い馬はちょっと要注意だと思っています。
      成長で伸びたり縮んだりした結果、バランスが取れてくれればその方が走るかな〜なんて…。

      何はともあれ、SNSでの引用については、転載なし&世間様にご迷惑をかけなければ、私からお断りすることはありません。
      アクセス分析によれば、これまでも他の方によるSNSへの引用は何度かあったみたいですよ。

      私はSNSと全く関わっていない人なので、代わりによろしくお願いいたしますwww

      確かにSNS上であれば、わにさんのような方々とも、もっと簡単にやりとりできるんでしょうね。

      1. ヒルダスパッションの17の件、失礼しました。

        確かに?表示となってましたね。

        個人的には牝馬に出たことでキレが増して走るんじゃないかと見ていましたが、どうなるでしょうか。

        「当歳から馬体が良すぎる馬は要注意…」

        馬体が良いとどうしても人気になって旨味もなくなってしまいますからメリットもあまりないように思いますし、そういう意味でも気をつけた方がいいのかもしれないですね。

        恥ずかしながら私は血統も馬体もまるっきり素人なので、一口馬主での募集時に馬体を見たとしても何がなんだか分からなくて「顔立ち」だけで決めたこともあったほどです(笑)

        それだけに『テシオ理論』は私にとってはまさに革命でした。

        今後の馬選びの転機になりそうです。(もちろん全ては自己責任)

        SNSの件も許可をいただきありがとうございます。

        馬選びの際、どうしても「テシオ理論」について触れないわけにはいかないので助かります。

        本当にありがとうございました。

        1. ほめていただき嬉しいですが、あまりテシオ理論に深入りせず、最後は迷ったら「素人の勘」を信じるくらいでクラブライフはちょうどいいと思います。立派なもんです。

          顔立ち、とても大切です。
          名馬はどれも顔がいい。

          牧場に行ったり、オフ会を楽しんだり…先立つものさえあれば、私も馬主ライフにどっぷり浸かってみたいモンです。

          でもキャロットさん(シルクさん共々)は、さすがに人気になりすぎましたかねぇ。

          噂でしか聞こえてきませんが、会員さんならではの苦労話等ありましたら、折を見てまた教えてください。

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