歴代の母たちから授かった大切な体力を身にまとい
今回は前置きなしに、さっそく桜花賞出走馬たちについて基礎体力一覧をご覧いただくが、配合の妙というものがいかに馬たちの将来を左右するかが如実に現れていると思う。
▼桜花賞2019出走馬 基礎体力一覧
ダノンファンタジー 67
クロノジェネシス ★72
グランアレグリア ★★88
ビーチサンバ ★66
アクアミラビリス 28
シゲルピンクダイヤ ★★63
エールヴォア ★53
シェーングランツ 25
アウィルアウェイ ★81
ノーブルスコア 47
ノーワン 50
プールヴィル 69
ジュランビル 44
ルガールカルム 31
レッドアステル 38
フィリアプーラ ★66
メイショウケイメイ 59
ホウオウカトリーヌ ★69
★はいつものとおり4代母までにMAX活性を含んでいる馬なのだが、ことG1レースともなると、まるで★馬ばかりが集まったかのように見えるのがスゴい。
さらに今年は
▼MAX活性なしでも基礎体力が高い馬という馬があまりいない
▼MAX活性馬たちが早々と権利(賞金)を取った後に、無印馬たちが直近トライアルで残りの権利を争った
という傾向が強い。
こう言ってはなんだが、フィリーズレビューやアネモネSの(配合面から見た)馬レベルは3枚落ちともいえるほどの差があり、勝ち馬に関してはもう表内上から8頭の「早々圏内組」から出ると断言してもいい。
ただそのベスト8の中でも、アクアミラビリスやシェーングランツらの虚弱組を除いた上でさらに配当妙味がありそうなのが、シゲルピンクダイヤ(牝3・父ダイワメジャー・渡辺薫彦厩舎)ではなかろうか。
今回はこの「シゲル」名物オーナー悲願のG1優勝なるかについて、少し解説してみたいと思う。
実は遠いばあちゃんたちからいい体力を継いでいる
▼シゲルピンクダイヤ (2016.2.12生・黒鹿毛)
母 ムーンライトベイ 0.25
2代母 ムーンライトダンス 0.75
3代母 Style of Life ★2.0
4代母 Bubinka ★2.0
0.25+0.75+2.0+2.0=5.0 →★★63
まあビックリされるかもしれないが、ピンクダイヤの基礎体力の源はすべて遠いばあちゃん祖先からの「遺産相続」であることがわかる。
つまりここ10年くらいは子孫たちはろくに働きもせず(○×サイクルだけは正解したが)、ぽいぽい種付けしたらできちゃった(本当はそんなことないけど)産駒なのである。
ようするに祖母のムーンライトダンスが★★含みのスゴい繁殖牝馬で、ファミリーにもうちょっとかっこいいスターが出てもいいと思うのだが、今のところ2番仔ムーンリットレイク(2008・父ディープ)とか、孫のジャカランダシティ(2016・父ヨハネスブルグ)とか、いわゆるOP大将止まりなんである。
じゃあ母のムーンライトベイはどうかというと、ファミリーのリズムは「き○ぐ×」と思われるので
▼母ムーンライトベイ(サンデーR) 06.3.24 3.9〜5.9
ニューヨークベイ 11.3.8 き○
アースシャイン 13.2.26 き○
サーシャ 14.2.23 ぐ○
シントードリーム 15.3.2 き○
☆シゲルピンクダイヤ 16.2.12 ぐ○(ぎりBAD3日)
17年産 全弟 17.2.18 き○(ぎりOK9日)
18年産 牝・父モーリス 18.1.26 ぐ×(ぎりOK11日)
19年産 牡・父シルバーステート 19.3.3 き○
今までもサイクルだけならOKの馬がたくさんいるのだが、あとは馬体、つまり「形=優先祖先」が走るように出てこなかったらしい。
お気づきだろうか、ピンクダイヤのひとつ上の兄シントードリームなどは自身も母のMAX活性を継いでおり、計算上は★★★84!!いう体力のバケモノである。
優先は父のヨハネスブルグ自身。北海道サマーセールサラブレッド1歳市で1782万円というまずまずの評価ももらっていたが、地方川崎でデビュー戦を走ったのみで抹消…。
それでも走らない形は走らない。
一方ピンクダイヤはというと、なんでもまだ新米時代の渡辺薫彦調教師が「これは走る!買ってください!」とセールでイチオシだったそうで(落札額はこちらも1728万円)、馬だけはやはり見るべき人の目を通さないと判定だけでは買えないものなのだ。
母は来年以降もOK判定馬を連続して輩出中だし、もともとクラブ馬という背景もあるので、どこかで形さえ良ければ覚えておいて損のない大穴牝系かもしれない。
距離延びてもへこたれないわよ
さて次にピンクダイヤの形を見ていくと
▼シゲルピンクダイヤ(2016.2.12生・黒鹿毛)
父 ダイワメジャー 活性値6
母父 ハイシャパラル 活性値6+α
3代父 シンダー 活性値4
4代父 ザミンストレル 活性値2
5代父 ナシュア 活性値5
よってタッチの差でピンクダイヤの優先祖先は母ムーンライトベイであることがわかる。(逆なら栗毛のマイラーだったかな?)
ムーンライトベイはその父ハイシャパラル(1999・父Sadler’s Wells)が優先で、BCターフ2連覇(いっぽう凱旋門賞は2年連続3着)が示すとおり、軽い芝に適性のあるクラシック配合である。
ハイシャパラルはサドラーのミニマム期産駒で、優先はトゥルビヨン系ジェベルの子孫・Hugh Lupus(1952)あたりとなり、やはり欧州系にしてはスピード色が強い。(母系はマイル〜10ハロン)
馬場が軽かったので米国では12ハロンをこなしたが、ロンシャンのようなパワー馬場は本質的に合っていなかったのだろう。
ピンクダイヤも日本ならオークスまで距離をこなす素地はあるが、一番強いのは秋華賞の二千くらいではないかと思われる。
【 結論 】シゲルピンクダイヤはオークスさらに秋華賞でこそ狙うべきクラシック適性馬
今年の3歳牝馬は桜花賞のマイルに適性がある馬が多いので、オークスでは勢力図一変の可能性もある。
その際、このシゲルピンクダイヤだけは(たとえ桜花賞がドカ負けでも)忘れずにおさえてみてほしい。