▼フローラS2019 菜七子にグイグイ動かせるか 欧州血統主導の鈍重マル外ヴィエナブロー

毎年ちょっとずついい思いをしているフローラS

ファンにはそれぞれ相性のいいレースというものがあり、自分にとっては秋のマイルCSとかJCなどがそれにあたるのだが、春のフローラSもまんざらじゃない感じ。

昨年推奨の1頭サトノワルキューレこそ人気だったものの、16年のパールコード(2人気)&アウェイク(13人気)の組み合わせや、12年の最低人気ダイワデッセー(3着)なども買った思い出がある。

そこでまずはいつものように注目馬の血統背景を見るとして、話の最後にこの時期の牝馬に惑わされない視点も少しお話しようと思う。

フローラS 基礎体力一覧

アモレッタ 59
イノセントミューズ ★56 Dashing Blade(1987・芝中距離)
ウィクトーリア ★53 ヴィクトワールピサ
ウインゼノビア ★59 Chieftain(1961・芝ダ兼マイル)
エアジーン ★63 Cornish Prince(1962・ダート中距離)
エトワール 75 Mountain Flower(1964・芝マイル)
クラサーヴィツァ 38
グランデストラーダ 31
シャドウディーヴァ 69 母ダイヤモンドディーバ(2004・芝9F)
ジョディー ★72 ダイワメジャー
セラピア 31
ネリッサ 59
パッシングスルー 59
フェアリーポルカ 44
フォークテイル ★69 ロードカナロア
ペレ 50
レオンドーロ 34
ローズテソーロ ★59 母〜オグリローマン
ヴィエナブロー ★72 キャメロット(2009・芝クラシック)

数値が優秀な馬だけ、参考までに優先祖先を付け加えてある。

こうしてみると今年のフローラSは、将来の繁殖牝馬の集まりと考えればかなり高レベルな馬が揃っている気がする(種牡馬の集まりと考えた皐月賞よりは、ね)。

中でも指数トップクラス&★付き馬の(外)ヴィエナブロー(牝3・父キャメロット・林厩舎)は鞍上込みで注目の存在だ。

おそらくこの馬も社台が仕入れた将来の繁殖牝馬候補なのだろうが、どうしてどうしてなかなかに個性的な馬だ。

ヴィエナブローの血統背景

【 繁殖サイクル 】

▼ヴィエナブロー(2016.2.7生 黒鹿毛)

Alea II 1967
 Amiel 76.3.12 2.26〜4.26
  Aerturas 81.5.4 き× 4.18〜6.18
   Cargo 89.6.4 ぐ× 5.18〜7.18
    Red Bullet(米プリークネスS勝ち) 97.4.13 ぐ×
 Alloy 81.4.22 4.6〜6.6
  Fast Cure 89.1.26 ぐ×
  Allwaki 90.1.28 き× 1.11〜3.11
   First Choice 96.2.4 ぐ○
   Premiere Creation 97.2.12 き× 1.26〜3.26
    Anabaa’s Creation 04.4.15 き×
    リオズスターレット 05.4.4 ぐ×
    Danish Delight 10.4.16 き× 3.30〜5.30
     ☆ヴィエナブロー 16.2.7 ぐ(○) →?

ちょっと手を広げて他の枝系まで調べてみたが、あまりハッキリと傾向が出る牝系ではないらしい。

97年産のG1馬Red Bulletも「ぎりBAD5日」で、いかにも大物が出そうな判定(&超初期配合)なので、7割方「き×ぐ○」でいいのではないかと思う。

よって新馬戦当時ヴィエナブローは「×」判定だったが、このままいけば3週間ほどの早生まれだったのかもしれず(仏に問い合わせる訳にもいかず)、仕方なく今は( )判定ということで落ち着いている。

【 優先祖先 】

父 キャメロット 活性値6

母父 Danehill Dancer(1993) ゼロ活性
3代父 Green Tune(1997) 活性値5
4代父 Miswaki(1978) 活性値3

優先は最も高活性の父キャメロット自身になる。

距離的にはむしろ次のオークスの方が向いているくらいで、心配はないだろう。

キャメロットの父はあのモンジュー(1996)だが、種付け時の活性値はちょうど中間の4でしかなかった。

そのため大抵の繁殖牝馬であったら9割方母似になるところを、母Tarfahの代々の父親たちが

母父 キングマンボ 活性値2
3代父 デインヒル 活性値1
4代父 ペルセポリスⅡ ゼロ活性!

だったため、父の中性期でも奇跡的にキャメロットはモンジュー〜サドラー似の産駒として生まれてきた。

彼は現役時から頭のいい馬として有名で、これは

・代々の父馬活性値が全て異なること
・3代父デインヒルでNorthern Dancerクロスが無効になっていること
・ペルセポリスⅡのゼロ活性&ゼダーンでネアルコが切れていること

など、いくつもの要因が重なって完全アウトブリード馬となり、明晰さが増しているのかもしれない。

キャメロットは英2000ギニーと英国ダービーを制した一流馬で、あのフランケルの同期にあたる。

本来なら彼だって英2冠達成&セントレジャーにも挑戦した歴史的名馬であるが、なにしろ別路線組のフランケルの爆発力といったら当時欧州中を席巻する勢い&人気だったため、キャメロットの評価は無意識のうちに低く見積もられたようだ。

加えて残念なことに、3歳の凱旋門賞後は体調そのものが春のキャンペーン当時に戻ることがなかったそうで、その点はちょっとグラスワンダーにも似た不幸な境遇に思える。

【 クロス 】

ヴィエナブロー中にはかなり多くのクロスがあるように見えるが、まずデインヒルとNorthern Dancerについては、母父のDanehill Dancerがゼロ活性であることで、いちおう5代血統表中では考えなくていいことになる。(6代だと母系にニジンスキー経由で存在しているが)

それよりも注意が必要なのがミスプロのクロスで、

父系 0.75×0.5=0.375

母系 1.0
   1.75×0.75=1.3125

都合3本のミスプロが生きており、今後の繁殖でヴィエナブローがフランス産だからといってむやみに米系ミスプロの血が濃い種牡馬を持ってくると、まずいい仔は出ない。

【 結論 】ヴィエナブローはコテコテのサドラー系欧州馬であり、日本の馬場ではスピード負けする危険大。菜七子、がんばれ!

これまでもまあまあ強いメンツとあたっており、着順そのものは気にならないからオークスまで行ければ相当面白い存在なのだが、芝のビッシリ生えそろった開幕週の府中は時計も出るのでねぇ。

本当にここが試金石でしょう。

最後にフローラS馬券のポイントを

この時期の3歳牝馬は

▼ゆっくりローテで馬体重の大きな馬から狙う

過去のフローラSを見るまでもなく、冬から順調に使われてきた馬にとってはそろそろ一服入れる頃にあたり、4月、5月はガス欠寸前の馬が多数紛れているのが事実。

もちろん当日のパドック気配でもそれは明らか(イレ込んでいてかわいそうなくらい)なのだが、馬体の大きさ=ガソリンタンクのキャパシティでもあるので、基本的に小さな馬、細化が止まらない馬は春は買うべきではない。人気なら3着まで。

反対に2、3か月の長い休養明けでここに臨むリフレッシュ馬の激走にはいつも注意が必要だ。

毎年のように2か月以上の休み明け馬がボコボコ好走&穴をあけるので、迷ったらここに備えた人気の休養馬を中心に、人気薄の休養馬を爆弾に。

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