▼中島国治氏の著書『血とコンプレックス』に対する私の評価について

テキストが手に入りにくい現状を憂いて

先日ある方からブログにあるご意見をいただいた。内容をかいつまんでお話しすると、

・その方は一口馬主の初心者さんで、私のブログとYouTubeの視聴者さんでもある(いつもご愛顧ありがとう)

・中島氏の著書『血とコンプレックス』にも興味があるが、なにせいま中古本の相場が高騰気味である

・『復刊ドットコム』というサイトで『血とコンプレックス』復刊を願う方の声もチラホラある

・後世に残すべき内容と思うので、ぜひ多くの方に興味を持ってもらえるよう、ブログなり動画なりに取り上げてほしい

ということのようだ。

これに対して、私の率直な意見をまとめておくことにしたい。

あのままを復刊するのは弊害がある

私がYouTubeチャンネルを立ち上げ、まず撮った最初の動画は「なぜ今自分がテシオ理論を採り上げるのか」というきっかけを知ってもらう紹介動画だった。

これを最初に見ていただくと「あなたは血統オタクでしょ?→NO」「中島氏の知り合い?→NO」などよく寄せされるさまざまな誤解が解けるのだが、その中のひとつとして私は、この著書「血とコンプレックス」をさほど評価していないことも正直にハッキリ述べている。

むしろ「なぜ中島氏はこのような未完未熟な著書が世に出ることを了承したのか」今なおそれがわからずに苦しんでいる。

これは中島氏の理論そのものをどうこう言っているのではない。そうではなくて、あくまで出版物としての正確性を問うている。文章の構成に始まり、例示、写真、キャプション…いずれにおいても数多くの誤りに(素人でもわかるほどに)汚染されていて、正直正しく勉強したいと思う人ほど、なおさらこの著書のひどさに辟易するレベルだ。

その理由として動画でも述べているが、私はこの著書の内容全体が「中島氏とゴーストライターによる口述筆記」で構成されたからとみている。中島氏の言い分をそっくりそのまま採用することを前提に、誰の校正もまともに入らずに右から左に流された、汚い言葉で言えば出版側のやっつけ仕事にすぎない。

当初中島氏はこの理論を世に出すことに消極的だった。それはあとがきにもちゃんと記されている。よってどちらかと言えば最後まで出版社側の強い押しがあって本が世に出た背景から、出版側も何かしら中島氏の言い分をのんだり、負担が軽い方法での取材に終始したのだろう。結果として双方どちらのサイドから見ても、この本は何とも中途半端な仕事として残ってしまった。

ただ、そのレベルでしかない著書がいまなおこうして多くの方の興味を引くことには本当に驚きを禁じ得ない。一読しただけでも得られるわずかなエキスさえ、さほどに魅力的だという裏返しなのだろう。

よって今、この著書「血とコンプレックス」を復刊してでも手に入れたいお気持ちはよくわかるが、その中身を2年近く穴が空くまで読み倒したおバカさんから言わせてもらえば、

▼今のままの内容では(真摯に学びたい人ほど)かえって害悪になりかねない

というのが率直な私の意見だ。これは最初の動画を撮った1年前からずっと変わっていない私の立場でもある。

辛らつな物言いで申し訳ないが

著書のレベルがそんな程度だし、お知らせいただいた『復刊ドットコム』なるサイトも覗いてみたが、残念ながら復刊希望の声そのものが古い時代のものだし、これから大きな波になるとも思えない。

だから私からこれ以上何かを協力することは難しい。理論そのものに関してはやはり私の動画をご覧いただくのが一番簡単な近道だとこの方もわかってはいらっしゃるはず。よってこれ以上の押しつけはしないが、一方でそうまでしてもやはりこの方は「一度本家の文章にふれてみたい」のだろうと思う。本好きな私にはその気持ちがよくわかる。

私だって無駄と知りながらテシオ翁の「BREEDING THE RACEHORSE」英訳本を買っちゃった人だし、たとえそれがイタリア語だろうが古語だろうが古本だろうが、欲しいものは欲しいのだ。

だからもし何も知らない初心者の私だったら、今回はわずかに出ている中古本を(新刊本レベルにめっちゃ高いけど)一冊買っただろうと思う。そうでないと気が収まらないからだ。

ただ、こうしてその内容を精査したオッサンから言わせてもらえば、読み物としてはいいけれど勉強本としての価値はないよと、はっきり指摘してあげるのが武士の情けというものだと思う。

YouTubeを始めた当初、実は自分も「血とコンプレックス」がいま中古本でどのくらいの値段か確かめた記憶がある。その1年前の当時はまだボチボチの値段で転がっていた(もう1冊の方は在庫なかった)ので、欲しい人がいても大丈夫だと思っていたのだが…。

もし中古本相場が私のせいで上がってしまったのなら(誤解しないで!そんな影響力全然ないけど)申し訳なく思う。しかし読み物以上の価値はないと知った上で入手されるのなら、私にはもうそれを止めることはできない。

確かにいつまでも現存する本ではないだろうから、今までの自分の意見を参考に熟慮され、行動されたい。なお9月から初期動画のリメイクを始める予定なので、このへんの顛末にもちゃんとふれておきたいと思っている。

▼中島国治氏の著書『血とコンプレックス』に対する私の評価について」への4件のフィードバック

  1. ご丁寧に記事で回答いただきありがとうございました。
    そしてドルメロさん自身に色々考えさせてしまって、大変申し訳ない気持ちで一杯です。
    ・値段の高騰の件
    →アマゾンでよく確認すると、品質に拘らなければ安価で手に入るものもございました。
    なので、考えさせてしまって本当に申し訳ございません。
    ・血とコンプレックスの件
    こちらは動画を部分的にしか見ていない私の認識不足が全てです。
    ドルメロさんのバイブスはこの本であると勘違いしておりました。
    中島氏の本の内容に全く興味がなくなった訳ではごさいませんが、私自身は何よりドルメロさんのブログと動画の大ファンで1番血統で参考にさせていただいている方なので、この記事を見て無理して手に入れる必要はないと改めてその考えに至った次第です。
    私自身、これからも競馬・血統とより楽しく向き合って、学んでいきたいと思います。
    これからもドルメロさんの動画と記事を楽しみにしております。

    1. おおむねご理解いただいたようでひと安心です。
      中島理論は熱狂的な信者がいる反面、すごく不安定な土台の上に立っている理論なので、取り扱いにも批評にも注意が必要です。
      でも競馬を楽しくしてくれるツールには間違いないので、これからもうまく使ってください。

  2. 使い方によってはある意味麻薬みたいな内容だからね。いろんな意味で…
    私も何十回読んでもよくわからないしちゃんと書いて欲しかったなぁと。まぁ数千円で公開する内容じゃないけど。笑い

    1. なにしろ、すごく中途半端な内容に終わってますしね。言い足りないことが山ほどある感じで。
      動画が一段落したら、中島氏がお茶を濁している父の種付け条件についても少し探ってみたいと思ってます。

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