▼日本ダービー総括 50代の男がダービーを勝つ世界観 5.31

動画はすべてドウデュースの可能性を探るものだった

YouTubeをご覧いただいた方なら薄々感じておられたと思うが、今年の日本ダービー動画は「ドウデュースにダービーを勝ってほしい」バイアス満々の内容に終始してしまった。

もちろん戦前にはどこかにいい穴馬はいないかも考えたし、またイクイノックスやダノンベルーガの魅力をもっと掘り下げる時間があってもいいとは思っていた。

しかし不思議なことに調べれば調べるほど、ダービーはやっぱドウデュースでいいんじゃね?という気持ちがわき上がっていた(隠してたけど)。正直朝日杯当時までは基準が古いせいもあって、さして彼のことを注目していなかったし、そこへ勝利が上乗せされて、一時はマイルのスピードキングという印象を植え付けられてしまった。

ただ皐月賞動画を作る際に、新基準で見ると今年の有力馬の中で唯一自然サイクル+種付け日効果がある「S」評価馬だということがわかり、これは獲るべくして獲った朝日杯タイトルかも…と感じた瞬間から彼の評価は180度変わった。

そしてもしこのまま彼を凌駕する「S」評価馬が出ないなら、春の2冠のうち、再びどちらかを手にする可能性があるだろうとも。

種牡馬選定競走というからには

ダービーにはいうまでもなく、その年の「種牡馬選定競走」の意味がある。種牡馬は子孫に自分の「形」を伝えるから、その国の競馬にあった形の馬が有利だし、父系が飽和状態でなければ長きにわたってその形を伝えようとするはずだ。

たとえばダノンベルーガ。彼もドウデュース同様に父ハーツクライの劣性期産駒で、母系の米芝系Seattle Songの形を継いでいる。このSeattle Songは父Seattle Slew、母父の父Princequilloという絵に描いたような米主流血脈で、浅い父似ならSeattle Slewだし、また深い父似なら、ゼロ活性でなければPrincequilloの形も出るという、残るべくして残った血筋である。

だからダノンとドウデュースは、広い意味で「同じものを伝える種牡馬」になろう。ドウデュースの優先経路もまた母父の父であるSeattle Slewを通るから、むしろダノンよりも直接的にSeattle Slewの形を伝える可能性が残されている。

現在の日本競馬において、サンデー系の次に強力な父の形こそがこのSeattle Slew系である。若駒の形としてはサンデー系を継いでいれば何も問題はないのだが、それがかなわない状況ならSeattle Slew優先馬を探す方法もあるだろう。社台系動画でもお話ししたとおり、レイデオロ、ブリックスアンドモルタル、スワーヴリチャード、ルヴァンスレーヴ…みなこのSeattle Slewに影響を受けている種牡馬で、本質的に彼らのやるべき仕事はひとつ、というわけだ。

そして今年の種牡馬選定競走でまたSeattle Slew系優先馬が勝ったということは、形においてはサンデー系との双璧状態がまだまだ続くことの証でもある。その牙城へようやく一石を投じることになりそうなのが、父キタサンブラックという存在だ。

キタサンブラックが伝えるもうひとつの可能性

ドウデュースを最後まで追い詰めた2着のイクイノックスは、ぎりぎり父キタサンブラックの優先馬。母シャトーブランシュの一番いいMAX活性期には5日ほど届いていないが、すでに自然サイクル日を4日延ばして種付けされたのだから、それは望みすぎというものか。

父キタサンブラックが早々に種牡馬としての価値を見出したことに、私は正直驚きを禁じ得ない。ご存知の通りキタサン自身は父ブラックタイドの劣性期産駒だから、優先経路は母父サクラバクシンオーから5代までならAmbiopoise(米ダ系)へとさかのぼる。

しかしキタサンが直仔に伝える形は少し違う。直仔の代の血統表ではAmbiopoiseは5代前から名前が消えるので、次に活性値の高い経路はバクシンオーの父であるサクラユタカオーとなる。ユタカオー自身の優先経路はユアハイネス〜Chamossaire(英セントレジャー)だろうから、欧州の古い形を継いだハンデはあったものの、母アンジェリカからいいスピードをもらった(少し間を置いた境界の超初期説もある)ことで、古馬になっての連続レコード勝ちにつなげたのかもしれない。

だからキタサンブラックが伝える形もこのユタカオーが主流だと考えれば、キタサンブラック産駒にはぜひ母から表のスピードがほしいところ(もちろんイクイノックスは表)だし、クラブ募集においてもキタサン産駒の「裏サイクル」馬は、たとえ自然サイクル生まれであっても、形が古いことによる悪影響が強そうなので熟慮する必要はあるだろう。

しかしこうして条件付ながら、父キタサンブラックがサンデー&Seattle Slew2強に割って入る可能性を示してくれたことは、今後の種牡馬バラエティを見る上でも大きな一歩だったと思う。

50代騎手が日本ダービーで輝く世界観

さてここからは馬を離れて、人間・武豊についての話をしておきたい。

私の中の競馬といえば、それはほぼ武豊騎手の栄光物語と同義と言っていい。目の前にはいつもユタカがいて、時に大外をぶっちぎり、時に技を尽くして内からハナ差をもぎ取る。そこに風車ムチやトントン乗りはなかったけれどw 彼を見ていれば今の競馬はこうなっているんだという示唆にあふれていた。

やがて彼の絶頂期は突如として終焉を迎え、代わりに円熟期とは名ばかりの苦難の時代がやってきた。乗り馬の質の低下、落馬による大けが…200を超えた年間勝ち星は50台にまで落ち込む。成績が伴わなければ、自然とジョッキーとしての序列も下がる。それはさらに人間関係の整理にさえつながった感があったし、その辺が彼自身一番つらかった時代だろうと思う。

ただ彼の周囲には、彼を見捨てることなくいつも支える方たちがいた。古くからの大馬主、オーナーブリーダー、調教師…。さすがに完全復活までの道のりは遠かったけれど、キズナのダービー勝利はそんなユタカ復活ロードの「第一章」として歴史に深く刻まれることになった。

しかし今年のダービー制覇はキズナの時とは少し違う。自らの復活がテーマではなく、あくまでドウデュースをどう勝たせるかに神経をキリキリ尖らせた、若き頃の勝負師としての顔が戻っていた。それは普段ドウデュースを語る口調にも表れていたし、自分が主役のダービーではないありのままを逆に楽しんでいた感さえある。

では今年のダービーの主役は誰だったのか。もちろん一番は馬自身であるが、人間サイドでいえば、まず近年ユタカと歩みをともにしているキーファーズの松島正昭代表を挙げなくてはならない。

常々「武豊ジョッキーで凱旋門賞を勝ちたい」と公言してはばからない同代表。最初こそ「そんな夢物語がいつまで続くのか」と思っていたファンでさえ、近年の進歩発展ぶり「意志あるところに道が開ける」姿には驚くところだし、50代の騎手と一緒に夢を見ることのできるオーナーってさすがに懐が広すぎないか?と羨望のまなざしw

ただ私はオーナーではないから、実は私が一番深く感じているのは

それに応えようと今日も勝負の現場に身を置く「50代騎手・武豊」の器

なのである。

声をかけられたときに応えられる準備ができているか

競馬に限らず、オーナー、スポンサー、パトロンに温かい声をかけていただけるのは、どこの世界でも嬉しいこと。しかし勝負の世界では結果が伴わなければ、その蜜月も長続きはしない。

先日いつも懇意にしてくださるオーナーさんから、今年はいよいよ夏のセールに出動するから、推奨馬情報をよろしく、どんなふうにしようかというお声をいただいた。50代のちっぽけな男に声をかけてくださるオーナーさんの図式はどこか今年のダービーに似ていて、今度は私がなにか勝ち星を届ける番だぞ、わかってるか? 思わず武者震いw

武豊はきちんとそれに応えるべく周到な準備をし、本馬ではひるむことなく自らの道を進み、オーナーに大輪の花を抱かせた。もちろんドルメロも毎日勉強している。時間があれば地方競馬の活躍馬、2歳セール情報をひもとき、またクラブ募集データを作りながら新しい傾向をつかもうと躍起になっている。が哀しいかな、まだ本物の実績を挙げたことはない。つまりはいまだ減量騎手ということだ。

そんな実績ゼロの50代男に声をかけてくださる方がいる。いや年齢はこの際関係ないだろう(とユタカも思っているはず)。私も本番ではぶれることなく、誠実にストレートに勉強の成果をお届けすることに全力を注ぐ。もちろんそれは今年最高の総決算データであり、一昨年、初めて他人のためにお仕事をしたときの自分とは違うと実感できている。それを思い切りぶつけていく。

あらためて気分が盛り上がってきたのも、きっとユタカのおかげだろう。クラブ、セール、どちらも頑張って調査続けていきます。

▼日本ダービー総括 50代の男がダービーを勝つ世界観 5.31」への4件のフィードバック

  1. 今回の内容YouTubeにアップして下さい。衝撃走ると思うけどなあ‼️
    こっそり我々だけが知ってればよいかなあ?笑い

    1. 記者も予想家も、終わったら一切反省しないのが競馬の常みたいで。
      後出しジャンケンと思われるのがシャクなんでしょうね。
      でも何が正しかったのか検証しておくことは、あとあとすごく役に立ちます。

  2. はじめまして。いつも参考にさせていただいております。
    昨年ユニオンのデータをお譲り頂き一年間各馬の近況と照らし合わせて締め切りの今日まで検討を重ねてきましたが、残念ながら自分が納得して申し込むのに値する募集馬にめぐり合うことができず見送ることにしました。折角データを頂いたので良さげな馬にいこうかとも思ったのですが、どうも気になることがあったりと踏み込めませんでした。全ての面で納得できる馬はなかなかいませんね。
    出資には至りませんでしたが、この一年データ・読み物を楽しみ尽くしました。もし今年もユニオンデータを販売予定でしたら、是非とも申し込みたいと思っております。有難うございました。

    一世代前の2019年産募集では検討していた募集馬にドルメロさんの動画での高評価が後押しとなって申し込みをしました(ナイアード2019)。3戦目で未勝利戦を突破し、これからも頑張ってくれそうです!

    1. ナガフジさん、はじめまして。
      いつもチャンネル等ご愛顧いただき、ありがとうございます。

      私のデータがその後みなさんのお手元でどうなっているのか、貴重なご意見をうかがえて参考になります。
      データというものは全てが決断を後押しするわけではなく、時には撤退を決める判断材料にもなりますね。

      昨年は使わなかった強運を、今年どこかで発揮されることを期待しています。
      もちろんユニオンさんのデータ販売も予定していますので、今年もよろしくお願いいたします。
      ユニオンさんの3歳世代は、もう2頭ほど推奨馬が勝ってくれそうですね。
      ウィルフルネス号、お見事でした!

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