▼春は人間と馬にとっても出会いと別れの季節 3.12

ここから一気に暖かくなるかな?

いよいよ東京で桜が咲くまであと少し。今年もそこまで春は来ている様子。

私の田舎も今年は確かに暖冬だったが、むしろ2月より3月の方が寒く感じたくらいで、つい最近まで氷点下5度なんて朝もあったくらい。しかしさすがに今ではご近所の梅の芽もほころび始め、止まり木で野鳥が鳴くのをのんびり眺めるのが楽しくなってきた。日差しも暖かい〜 って…仙人かよ。

そしてサラブレッドにとっても春は一年で一番重要な繁殖期。母馬は出産を控え、人間はその仔馬を迎えながら次の種付けの手配準備に忙しい。私はただ北の大地から朗報が舞い込むのを待つ身、それだけのはずなのに、毎年思わぬ命のやり取りに心を動かされる。

毎年一緒に配合を考えていた某牧場さんから、突然母馬と仔馬の難産の知らせがあり、その後残念ながら親仔とも亡くなった。母は評価され始めたばかりの期待の繁殖で、昨年のセールでは産駒がクラブに買い取られ、今年は私も推奨した種牡馬の子が生まれて来る予定だった。牧場さんの落胆ぶりは想像するのもはばかられるが、「生産は、ほんと、難しいです」というたった一言のメッセージに私は返す言葉もなく、ただうなだれるしかなかった。

数日して今度は某オーナーさんから「未出走の牝馬を引退させようと思う」とのご相談が。どうも以前の怪我は完治したらしいが、競走馬としてはデビューが難しそうとの判断に至ったらしい。牝馬が多い牝系でもあり、この子は外にお嫁に出そうと今みんなで譲渡先を探しているから、この子の繁殖的価値などをまとめてほしいとのご依頼。

こうなればもはや親戚の子を嫁に出すような?心境。でもさすがにここでテシオ理論を全面に出したらお相手に引かれてしまうので、なるべく易しい言葉でこの子のいいところをたくさん書いておきたい。8歳までは丈夫な子が期待できるとか、配合時あのクロスは気にしなくてもいいとか、こりゃまるでお見合いのプロフィールみたいだなと思いながら書いていたら、翌日に事態が急転直下!

なんと某調教師さんのご提案から、次の譲渡先が決まったとのこと。

このプロフィールが使われることはなかったが、いやはや無事嫁ぎ先が決まったのは何より。オーナーが大切にする牝系が初めて外の世界に羽ばたくこととなり、私たちとはまた違ったアプローチで名馬を産んでくれることを期待したい。

とまあ、春は本当に出会いと別れの季節なのです。この後も出産と配合とブリーズアップセールが控えており、感情のジェットコースターは止まる気配を見せませんが、昨年より少し体調がいいことだけが支え。この春、関係者皆さんが1頭でもいい馬と出会えますよう、毎日願う次第であります。

▼春は人間と馬にとっても出会いと別れの季節 3.12」への4件のフィードバック

  1. 昨日、ノーザンファーム天栄まで出資馬の見学に行ってきました。

    事務員の方には親切丁寧に対応していただき、現場のスタッフさんの誰もが一口会員の身でお邪魔している私にでさえしっかりと挨拶をしてくださるので「馬づくりは人づくりから」というのはこういうことなのだろうと感動すらしてしまいました。見学は今回で3回目なのですが、その素晴らしい対応に毎回驚いている気がします。

    場長の木實谷さんにも通りがかりに偶然お会いしたのですが、木實谷さんの方から「こんにちは」と挨拶していただいて、ちょっとしてまたどこかに出ていかれたのですが、その時にもまた声を掛けていただきまして本当に素晴らしい方でした。

    見学ツアーの時も思いますが、実際に現場を見ると現場スタッフさんへの尊敬の念が増します。私が見ているのはごく一部で知らないことの方が圧倒的に多いのでしょうが、懸命に馬と向き合ってる方々がいるおかげで私たちが競馬を楽しめているということは忘れてはいけませんよね。

    1. 日本の生産トップがそれですから、他場がおいそれと追いつくわけがないんですよね。
      私が常々「社台の牧場見学ツアーを独自で企画したい」と願っているのも、そんな素晴らしさに触れたいから。
      それをもってYouTube卒業としますか。笑
      年々、命が尊く感じられます。

  2. 馬に限らず人間にも言えますが、本当にお産というのは難しいとはこのことなのでしょうね。無事の安産もあれば難産になってしまって最悪ってことも…。
    それも順風満帆になりそうな繁殖とあればその悲しみは如何ばかりでしょうか。言葉もなくなるのも致し方ないどころか落胆具合は…。
    私も近頃、某FCに入会して出産シーンをリアルタイムで視聴した身なので意味もなく頑張れと念を送っていたのを思い出しました。
    昨年以上に今年は、気温の乱高下も今後も予想されるのでお身体ご自愛のほど、マイペースで動画やブログ更新お待ちしております。

    1. いまYouTubeでも出産馬房ライブがありますね。なかなか生まれずヤキモキさせたり。
      しかし命の誕生は奇跡の連続なのだとあらためて感じます。
      いつもお心遣いありがとうございます。

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