グリーンチャンネルにて、追い切りの様子を視聴したので、人気馬を中心に気になるところを挙げていく。
G1とはいえ、2歳牝馬の追い切りとあって、きっちり究極に仕上げる陣営などあるはずもないが。
人気の牝馬は余裕の最終調整か
まず、展望で取り上げたオルフェーヴル産駒の2頭は対照的な最終調整。
前売り1番人気のラッキーライラックは、長めから追われて最後1Fも11秒台と「動」の過程。
いっぽう大外が嫌われたか3番人気のロックディスタウンは、輸送も控えているため4Fからサッと流した程度の「静」の過程。といって軽すぎるわけではないし、これで十分。
この2頭に割り込んできた2番人気が関東馬のマウレア(牝2・手塚厩舎)。阪神JFは桜花賞よりも関東馬が健闘できるレースなので、輸送次第とはいえ侮れない。動きはまずまず。
おもしろい馬は伏兵の中に潜んでいる
伏兵陣からぜひ取り上げておきたいのが、リリーノーブル(牝2・藤岡厩舎)。500キロ近い雄大な馬体から、いかにも長くいい脚を使えそうな動き。これで中1週というから驚きだ。無駄打ちのない川田騎乗ということでも、大いに期待。
ちょっと血統をのぞいておくと、この母系はオールドファンなら泣いて喜ぶ「ビーバップ系」。3代母ビーバップ、母母バプティスタ共々いいところまでいった活躍馬で、やや勝負弱さこそあるものの、仔出しも良く、堅実性では負けていない。
そこまで持ち上げておきながら恐縮だが、この馬が母ピュアチャプレットの芦毛を継いでいないのは母9歳時の産駒だから。つまり本馬の得意資質はすべて父ルーラーシップ側から来たものといってよい。さらに父の母エアグルーヴはやや晩成気味だから、より父系の影響が強いかもしれない。
あの期待馬の毛色と流星の謎
血統といえば、なぜ取り上げないとお叱りを受けそうなのが、ソシアルクラブ(牝2・池添厩舎)か。
調教の動きは可も不可も無しといった程度だが、初めて見てびっくりしたのが、お顔の派手な流星と、輝く栗毛。そこに母の面影は全くない。
それもそのはず、またしてもこの仔は母ブエナビスタ9歳時の産駒で、本馬に影響なし。よって母方から資質を受けたなら必ず受け継ぐ「青」や「黒」系の色でないことも納得がいく。
ではどこからきた栗毛なのかといえば、父系だけをさかのぼれば4代父のレイズアネイティブ(栗毛)まで行き着くが、実はその子ミスプロは、父9歳時の産駒でこれまた影響力が少ない。
毛色は隠れ遺伝子の組み合わせの関係もあり、一概には説明できないが、この仔だけは不思議な発現の仕方をしていると思われる。もちろん、将来的に母とは異なる道を歩みそうなことだけは確かだが。
今年の阪神JFは人気ほどの実力差はないので、当日のパドックまで最終評価は保留しておくのも一興だろう。