2強、2強とすごい騒ぎの朝日杯FS
今年の2歳牡馬戦線は「2強」がトレンドのよう。
東スポ杯のワグネリアンVS.ルーカスに続き、このG1ではダノンプレミアムVS.タワーオブロンドンで巷の噂は持ちきりだとか。
でも2歳といえばまだキャリア2、3戦の若駒たちばかり。いくら穴が空くまで動画を見ても同じ姿しか頭に入ってこない。
そこでいつもどおり血統背景から解析していくことにする。
ダノンプレミアムはサンデーそのものだ!
▼ダノンプレミアム(牡2・中内田厩舎)
父ディープインパクト
母父インティカーブ
青鹿毛
2歳馬の姿を見るとき、血統といっしょに毛色もよく参考にするのだが、このダノンは誰がどう見ても「サンデー」そのもの。
しっぽり上品に濡れた青鹿毛の顔にサッと流星が走り、フジキセキ以来の「うり二つ」産駒かもしれない。
ディープの特徴を色濃く持つ仔は鹿毛に出ることが多く、また母系もすべて「鹿毛一族」。よって彼は鉄板のSS系だ。
母父インティカーブは米国産馬で、主に英国を主戦場としたマイラー。一流とは言いがたかったが、生涯に着外わずか1回の超堅実派。もしかしたら字面以上に能力があったかもしれない。
それは種牡馬生活で花開き、日本にも来た英オークス馬スノーフェアリーなどを輩出、ブルードメアとしてもまずまずの成功を収めている。
ダノンの血統上には、Hail to Reason、Northern Dancer、Danzigの3本の大種牡馬クロスがあるが、実はこれらは全て無効である。
というのも、祖父サンデーが曾祖父ヘイローの17歳時産駒で影響がなく、また母母父デインヒルがDanzig9歳時産駒で影響がないからで、虚弱など健康面に関する心配はあまりない。
とくにサンデーとHaloには互いに影響力がないことは、これからも覚えておくといいだろう。
字面とはかなり違う適性を持つタワーオブロンドン
▼タワーオブロンドン(牡2・藤澤厩舎)
父Raven’s Pass
母父Dalakhani
鹿毛
父Raven’s Passは米国産のミスプロ系種牡馬。
と聞けばダート馬かと思いきや、祖父Elusive Qualityは曾祖父Gone Westの9歳時産駒で影響がない。そこでNorthernDancer系のHero’s Honorなどが強まり、以後ファミリーはみな芝ダート兼用血統になった。
祖父も自身も芝ダート両方の重賞ウィナーで、自身の勝ったQE2世SとBCクラシックがファミリー最高の栄誉だろう。
ここまできて「あれ?この馬の本質は母系の優秀さにあるんじゃないの?」と思った方はかなり鋭い。
確かに2代母シンコウエルメス、3代母Doff the Derbyの絆物語はよく知られ、皐月賞馬ディーマジェスティ誕生の一因とも言われる。
ところが本馬の場合、エルメスにダラカニをかけて生産した母スノーパイン(英国産)がエルメス17歳時の産駒で、残念ながら影響力を及ぼさない。タワーにダラカニの芦毛が出なかったことも、それが関与している可能性がある。
今のところ、本馬は父系の影響が強く、よって芝ダート両方OKのオールマイティ馬ではないかというのが結論だ。
2頭とも「袖すり合うも多生の縁」で今ここに集ったが、将来はかなり違う路線に歩む可能性を秘めている。
だから2歳戦って不思議ですよね。絶対能力だけで同じ道を歩むことができるんだから。
裏を返せばそれほど能力に秀でた2頭ということ。彼らを負かすのは確かに大変そうだ。