▼阪急杯2018 フランケルの血は引いていないモズアスコットが躍進の時迎える

走るたびに強調されるフランケルの血ですが

成績としては種牡馬別にまとめられて、どうしても「フランケルの仔」で一緒くたに語られてしまうのが惜しい。
このモズアスコット(牡4・矢作厩舎)はフランケルの仔であって仔でない馬なのだが、それはおいおいご紹介するとして、まず彼は間違いなくマイル戦線に久しぶりに現れた新星、それもかなり大きめの「超新星」であると申し上げておこう。

 

いよいよそのヴェールを脱ぐモズの真の実力

 

乗るジョッキーたちが口々に「規格外」「初体験」と上気した表情で彼を評するそうで、もうこれは搭載エンジンからして違うのだろう。

そんな素質馬もデビューは意外と遅く3歳の夏。未勝利戦もあまり残っていない時期だし、緒戦、2戦目と負けてるしで、さぞかし陣営は気を揉んだろうと思う。

そんな彼が距離を短縮して迎えた3戦目から一気の4連勝。前走阪神Cではレコードのコンマ4秒負けという激走まで果たし、1番人気には応えられなかったものの(勝ったらバケもんだからね)、反動さえ出なければ春の活躍は約束されたようなもの。

人はいう、「フランケル産駒ってやっぱすげえ」ってね。

 

ごめんなさい、フランケルじゃありません

 

でも血統表で見た彼の形質の源は、ずばりフランケルじゃなくてMiswaki です。

Miswaki は仏G1など6勝を挙げたスプリンターだったが、その競走成績以上に母父としての影響力が多大だった馬。
彼の代表産駒であるUrban Seaは牝馬ながら凱旋門賞を勝った名牝で、不思議なことにMiswakiの産駒は父よりずっと距離をこなすことで有名だ。

モズアスコットの中には、このUrban Seaと2代母Misty Hourを経由したMiswakiのインブリードクロスが存在する。
ただUrban Sea自身はあまりMiswakiの影響が強くない年の産駒なので、モズのインブリードの悪影響を最小限に抑えている。

 

もっと語られるべきは母系の素晴らしさだ

 

ではMiswakiのクロスだけでモズがこれくらい走るのかというと、そうではない。(もちろんクロスで栗毛になったのではない)

このモズアスコットの最大の武器、それは母系からくる基礎体力が名馬並みに豊富である点に尽きる。

とくに2代母Misty Hourから先の母系は、軒並み満点近い体力を子孫に伝えていて、モズの実母Indiaは残念ながら並み以下ではあるが、それを差し引いてもなおこれまでの名馬に劣らない体力を有する。

それでいてまだ自身は3歳夏にデビューしたピチピチ(死語)の4歳馬であることを加味すれば、ちょっと末恐ろしいものを感じさせる。

ちなみに母Indiaはこれからよい年回りになってくるので、POGファンは来年以降このファミリーを追いかけてみるのもおもしろい。

 

歴史的名馬フランケルでみる欧州馬産レベルの高さ

 

モズが実はフランケルの仔じゃないと言われても、父がフランケルなのはれっきとした事実であるから、ここで種牡馬フランケルについてもちょっと解説しておく。

フランケルの血統の恐ろしさはその「有効祖先の少なさ」。
Galileo産駒でありながら、生涯の全レースを類い希なるスピードで圧倒したフランケルは、血統上ではデインヒルが一番強い影響を誇っている。

さてここでフランケルが生まれるまでに代々つけられた種牡馬にどれくらいの影響力があるか、五つ星で表すと、

4代前 Stage Door Johnny ★★半  セントサイモン系
3代前 Rainbow Quest なし(9歳時)
2代前 デインヒル ★★★半  →優先祖先
1代前 Galileo 半  ネアルコ系

 

でしかも、デインヒルはその父Danzigの影響がない馬なので系譜はそこで途切れ、血統表の4系統中2系統については「ゼロ」または「空白」といっていい簡素な構造をしている。

これが何をもたらすかというと、デインヒルのスピードをじゃまするものなく直に伝えやすいことは想像できるだろうが、もうひとつ

▼頭脳明晰、ボスの資質にあふれた精神構造

つまり、頭がいいんですね。

フランケルは自身の中できちんと「やるべきことを理解していた」馬である。

それはなにも「距離を持たせよう」とか「英国ダービーをスピードで圧倒しよう」とかいう欲深い絵空事ではない。

フランケルはデインヒルのスピードを100年後も後世に伝える、という役のために生まれた名馬であり、それを陣営も、またこの場合は馬も自覚していたと推察できるのである。

欧州血統を見ていると、たまにこういう「空恐ろしい」血脈にたどり着くので、そこが日米にはあまりない楽しみ方かもしれない。

日本でわかりやすい例ならば、SSとゴールドアリュールにも似たことが言える。
日本馬産界がゴールドアリュールを失った損失というのは、たとえ牝馬がサンデー系であってもサンデーのインブリードが邪魔しない配合ができたのに…ああ、これについてはまた機会を見てお話ししたい。

先週やればよかったなぁ。


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