▼京王杯SC2018 インブリードが色濃く残る新星とそれを逃れる好素材馬

安田記念へというよりは高松宮記念の残像残るレース

各競馬場ともに千四という距離はやはりどこか特殊。

千二でも千六でもなく千四ばかりを得意とする馬がいるし、どん尻からの追い込みも決まれば、逃げ切りもある。
ラップ構成はどこかダート戦っぽくて、芝なら千二のラップにもよく似ている。

つまり、ここも安田記念の前哨戦というよりは、まだ高松宮記念の残像を引きずって予想してもいいのではないか。
そしてもし買うなら、ここではちょっと忙しそうに競馬していた負け組を、次走の安田記念で狙うのが美味しいのではないかと思う。

 

買いたい馬はいても距離が忙しいまま競馬が終わりそうで

 

▼京王杯SC2018 基礎体力表

ダンスディレクター 72
フィアーノロマーノ  70
テオドール                66
トウショウドラフタ 66
タガノブルグ            63
シュウジ                   59
ビップライブリー    56
キャンベルジュニア 56
ブラックスピネル    50(平均)
ムーンクエイク        47〜
セイウンコウセイ    47
ダイメイフジ            47
グレーターロンドン   44
リライアブルエース 44
ウインガニオン       41
サトノアレス           38
トウショウピスト   34
ラインスピリット   31

 

前走G1でいいところを見せてくれたダンスディレクター(牡8・父アルデバランⅡ・笹田和秀厩舎)は、なにしろ反動の大きいタイプでもあり、調整過程に少しでも陰りが見えたら消しでよい。
もちろん順調なら買いだろう。

 

代わって、新顔の姿が何頭か見えるので紹介しておこう。

基礎体力ではダンスの次に来る、フィアーノロマーノ(牡4・父Fastnet Rock・高野友和厩舎)。

社台はときに「こんな不思議な馬をわざわざ遠くから買ってきましたよ〜」みたいなことをしてみせる。
今年の3歳牝馬でいえば、モルトアレグロ(父スペイツタウン・武井亮厩舎)のような、ね。

フィアーノロマーノは豪州産で俗に言う「遅生まれ」でもあり、体が本当にしっかりするのは今年秋以降だと思うが、それでもここまできてしまう潜在能力は確かなものだ。

 

優先祖先は4代前のVice Regent(1967)で、そこからさらに3代さかのぼったWindfields(1943)という貴重なマッチェム系の馬の影響を強く受けている。
またわずかではあるが、父Fastnet Rock自身が優先という可能性も残されている。

Fastnet Rockは豪州産のスプリンターで、とくに千二以下のG1を2勝したほどバリバリ短距離にシフトしていた馬。
ただ今までのフィアーノロマーノを見ていると、そこまでは短距離仕様でない気がするので、やはりVice Regentが強いと考えていいのかもしれない。

 

ひとつ気になるのが、ここまで代々Northern Dancer系の種牡馬ばかりをかけ続けていること。

幸い直父系はデインヒル(1986)で切れ、母父ロイヤルアカデミー2(1987)もごく活性が弱いので、父自体は影響が少なかったが、仔のフィアーノはとくに母系のNorthern Dancerが相当色濃くて…。

レースのレベルが高くなるにつれて、精神面のケアには十分な注意が必要となるだろう。

 

体力は並み程度も血統構成がおもしろい穴馬

 

クロスといえば、今年はオブセッション(藤沢和雄厩舎・Northern Dancerクロス3本生き)の弥生賞逸走でイタい目に遭った人も多いはずなので、ここでは穴という意味も含め、同厩舎のムーンクエイク(セン5・父アドマイヤムーン・栗毛)を推しておく。

血統表を見ると「なんだ、こっちもクロスだらけじゃないか」と思われるかもしれないが、この馬は上記2頭とは異なり、かなり巧妙にクロスを避け、最小限の影響でおさえている。

 

まずミスプロエタンは両方ともNative Dancer(1950)を祖とする種牡馬だが、何回も既出のように、ミスプロは父Raise a Native(1961)の9歳時産駒で影響なし。
よってクロス自体が存在しない。

またNorthern Dancerについても、直仔Dance Spell(1973)、Fairy King(1982)ともに活性が弱く、さらに父アドマイヤムーン自体の活性がほぼ最小なので、弊害に至らない。

最後に残った珍しいKris(1976)とDiesis(1980)という全きょうだいのクロスも、同じ理由でほとんど影響がない。

 

活性の弱まった時期の種牡馬を生かすには、こういう道もあるのだとあらためて気づかされる。
もし父アドマイヤムーンの活性がもっと強ければ、クロスが弊害を起こし、またなによりムーンクエイクがただのダート短距離馬になる可能性もあったのだから。

優先祖先は母父Halling(1991)からセルティックアッシュ(1957)というベルモントS勝ち馬にさかのぼるのが有力。
わずかにレッドゴッド(1954)優先という可能性もあるけれど、千四は本質的にちょい忙しく感じるかも。
逆にのんびり行ければもっと長い距離でも走れそう。

 

リッチダンサーは、本来3月17日から5月17日がよい発情期だが、珍しい逆サイクルの牝馬にあたる。

初仔Stubbs Art(種付け2月28日・英2000ギニー3着など)をはじめ、奇数年(満でいう偶数年)に生んだ仔は、全てその時期「以外」によい発情が来ている。
これが逆サイクルだ。

バウンスシャッセ(同6月6日)も本馬(同5月26日)もその点をクリアしており、上質のスピードが伝わったと見てよさそうだ。

このような逆サイクルをもつ繁殖牝馬は、全体の3割ほどいるといわれている。


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