▼セレクトセール2018 1歳馬最速診断 中堅種牡馬編(No.49、96、135)

マイナー種牡馬の2017年代表産駒がすべて集まっている予感

そう、今まで私はセレクトセールを何も理解していませんでした…。

こういうセールではディープ産駒等ばかりが高レベルで、生産頭数の少ない種牡馬の産駒は「どれもまあそれ相応のデキ程度」かなと思っていたのですが、いや、とんでもないです。それは偏見です。

今回全馬を詳しく見てハッキリしました。
前回のトーセンラー&スピルバーグ編に続き、2、3頭しか上場しない中堅種牡馬(あえて言うならマイナー種牡馬)が生み出す産駒のデキがかなりいい!

もしかしたら流行りの血統を狙わずとも、こういう馬を追いかけた方が、POGや実際の馬主さんは出資以上のいい思いができるんじゃないでしょうか。

というわけで今回は、ノヴェリストフェノーメノ、そしてリアルインパクトのセール上場産駒をご紹介します。

 

本日の目玉産駒!大化けもある芝ダート兼用馬

 

▼No.96 レイナカスターニャの17

17年3月23日生まれ 牡 黒鹿毛
父 ノヴェリスト
母父 キングカメハメハ

【診断結果】

・優先祖先 Night Shift(1980・Northern Dancer系)

・馬場、距離適性 芝orダートの中距離

・基礎体力値 78(平均50)

・頭脳 普通

・総合 ★★★(満点は5つ)

 

3代母アンデスレディーはたいへん優秀な繁殖で、ダービー2着のインティライミサンバレンティン全きょうだい(ともに父スペシャルウィーク)をはじめ、オーバーザウォール(父ドクターデヴィアス)、フォルクローレ(父ダンスインザダーク)など、さまざまなタイプの活躍馬を輩出しました。

本馬の2代母ナスカインティライミのすぐ下の妹で、兄とはうまくWinWinの関係を保っています。

4代母 ペルースポート 72年3月26日生
3代母 アンデスレディー 86年3月30日生 (×)
オーバーザウォール 94年4月11日生 (×)
フォルクローレ 99年3月8日生 ○
サンバレンティン 01年3月9日生 ○
インティライミ 02年4月6日生 (×)
2代母 ナスカ 03年4月9日生 ○
母 レイナカスターニャ 08年4月19日生 ○
姉 アンデスクイーン 14年5月3日生 (×)
本馬 17年3月23日生 ○

またナスカは父サンデーMAX活性期の産駒であり、優先祖先を探すためにノヴェリストから代をさかのぼらせる一因にもなっています。

 

本馬の父ノヴェリストは、代々の種牡馬の中にNight Shift(1980)以外の優性期種牡馬を持ちません。

そのNight Shiftは競走成績こそ凡庸だったものの、種牡馬としては望外の活躍ぶりで、欧州中心にたくさんの一流マイラーを輩出しました。

ノヴェリスト産駒が日本で意外と軽い走りを見せるのは、このドイツ血統中に隠れたNight Shiftスパイスとしてよく効いているからです。

よって本馬も理想をいえば芝の二千あたりで活躍してほしいのですが、実馬の動画を見ると、ひづめがかなりコンパクトでしかも立った形状をしているのが見てとれます。

これは「重馬場巧者」の証で、逆にパンパンの良馬場芝ではちょっとクッション性に欠けます。
よって芝では時計的な限界がありそうですが、いっぺんダート戦も試して損のない馬だと思います。

 

体力的にはかなり優秀で、とくに3代母アンデスレディーと実母レイナカスターニャからMAX活性を2回継いでいるのが心強い限り。

こういう誰も走ると思わない(コラコラ!)馬をリーズナブルに手に入れ、無理せず走らせたら馬主ライフはきっと楽しいでしょうね。

コスパも文句なくイチオシです。

 

ゼロ活性2発でインブリードを見事に回避している好例

 

▼No.49 タイムトラベリングの17

17年1月21日生まれ 牝 鹿毛
父 フェノーメノ
母父 ブライアンズタイム

【診断結果】

・優先祖先 Wishing Well(牝・1975)

・馬場、距離適性 芝の中距離

・基礎体力値 47〜72(平均50)

・頭脳 明晰

・総合 ★★(満点は5つ)

 

2017年の2歳G1・ホープフルSを制したタイムフライヤーの妹。
兄はちょっとさばきが硬い感じで、戦法に融通が利かない面もあるようですが、妹はもう少し素軽いのではないかと思います。

兄の優先祖先はサンデーであるため、流星や後肢の白が見られますが、本馬はさらに2代さかのぼったHalo(1969)の位置が優先祖先になるはずでした。

ところがHaloは今までに何回も申し上げているとおり、ゼロ活性つまり劣性ですから、優先は自動的にサンデーの母、Wishing Well(1975)に移ります。

Wishing Wellが優先になる産駒は、サンデーと違い、流星が消え、体にあまり白いものが見えなくなります。
適条件は芝の千八あたりです。やや小回り、ローカル指向かもしれません。

2代母 ジョリーザザ 91年2月21日生
叔父 タイムパラドックス 98年5月23日生 ○
母 タイムトラベリング 04年1月12日生 ○
兄 タイムフライヤー 15年2月1日生 (○)
本馬 17年1月21日生 ○

さらにHaloのゼロ活性に加え、これも本欄ではおなじみのデインヒルのゼロ活性が加わり、本馬にあるはずのNorthern DancerHail to Reasonクロスは一瞬で消え去ります。(じつは3代父Averofもゼロ活性の可能性あり)

つまり父フェノーメノは、2大メジャークロスの弊害を心配する必要が全くない種牡馬ということになります。
これは中堅種牡馬の生き残りセールスポイントとして、かなり大きなものです。

もし本馬の3代母Bold Lady(1974)がMAX活性を伝えていれば、基礎体力は一気に72へジャンプアップし、鬼に金棒です。

こちらは牝馬で引退後の繁殖生活も楽しみ、おまけに兄の存在以外に高額になる要素があまりないので、当然お買い得の1頭です。

 

最後はちょっとギャンブル性高し ダート馬の可能性も

 

▼No.135 アドマイヤヒラリーの17

17年2月27日生まれ 牡 栗毛
父 リアルインパクト
母父 Nashwan

【診断結果】

・優先祖先 父リアルインパクト or 母アドマイヤヒラリー

・馬場、距離適性 芝orダートのマイル

・基礎体力値 50(平均50)

・頭脳 普通

・総合 ★★(満点は5つ)

 

優先祖先がハッキリしないというより、本馬の栗毛由来がイマイチ不明なので、母の誕生日と本馬の種付け日が重なった可能性も否定できません。(もしそうなら、もちろん母が優先祖先&栗毛はNashwan由来)

おまけに代々の良好な発情期と各馬の誕生日の境が近すぎて、表裏どっちにもとれるケースばかり。
が、母系はすべて競走である程度走れた牝馬なので、リズムは継続しているととらえての推薦です。

もちろんどこかの代がペケである可能性も十分考えられます。

4代母 Ricabie 73年1月1日生
3代母 Daloma 84年1月1日生 ○
2代母 ダリンダ 93年4月6日生 ×
叔母 Dunloskin 01年4月21日生 ○
母 アドマイヤヒラリー 02年4月12日生 ○
本馬 17年2月27日生 ○

本馬を動画で見ると歩様はとてもスムーズですが、骨量が豊かで、一見してダート馬っぽいたたずまいです。

こういう芝馬もいますが、ゆくゆくはダート戦線で走ることになるかもしれませんね。
といってもかなりスピードの勝ったダート馬で、距離短縮にも無難に対応できるでしょう。

 

余裕があれば、▼No.205 マチカネチコウヨレの17 (父リアルインパクト)もちょっとだけ気になります。

もうすぐトップテン圏内の馬ですね。

 

さて次回は1歳馬最後の診断、ルーラーシップロードカナロア編です。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です