▼セレクトセール2018 1歳馬最速診断 高額馬ベスト5&怪物編

なぜ推奨しなかったのかその禁断の理由を教えよう

セレクトセール診断を始める前までは、情報(とくに祖先の誕生日)の少ない馬については「見送り」としていました。
ところが診断も半ばを過ぎた頃、こんなサイトがあることに気がつきます。

Equibase
http://www.equibase.com

このサイトのすごいところは、母馬の名前を検索するとその母、そのまた母…と可能な限り祖先の誕生日を教えてくれる(しかも名前をワンクリックしていくだけ)点で、これに出合って以降一気に調査の幅が広がりました。

そこで今回はセレクトセール2018で高額取引された1歳馬ベスト5をもう一度振り返り、きちんと白黒をつけた上で、セールの総まとめといたします。

 

第1位 キングスローズの2017

 


父 ディープインパクト
母父 Redoute’s Choice
落札価格 2億5千万円
落札者 (株)ダノックス 様

【判定】 非推奨
【その理由】 スピードサイクルが裏

 

2代母 Nureyev’s Girl 00年8月18日生
母 キングスローズ 07年10月29日生 ×
(10月12日から12月12日、4月12日から6月12日良好)
兄 サトノアーサー 14年3月1日生 ×
本馬 17年2月18日 × →BAD

このファミリーは「奇数歳がサイクル外れ、偶数歳がサイクル内」という順番で良い発情が訪れるので、兄サトノアーサーは母のカッコ内期間を外れて良し、でしたが、弟は偶数歳の産駒ですから、カッコ内期間に入ってこなければなりませんでした。

また母(南半球産)9歳半の産駒で、実の母から基礎体力をほとんど得ていないのもマイナス点です。

 

つづく第2位の馬はとてもいい馬なので、最後にご紹介します。

 

第3位 ライフフォーセールの2017

 


父 ハーツクライ
母父 Not For Sale(亜)
落札価格 2億3千万円
落札者 近藤利一 様

【判定】 非推奨
【その理由】 スピードサイクルが裏

 

3代母 My Little Life 90年9月1日生
2代母 Doubt Fire 01年8月19日生 ○
母 ライフフォーセール 08年8月1日生 ○
(7月15日から9月15日、11月15日から3月15日良好)
姉 ダノンファンタジー 16年1月30日生 ○
本馬 17年1月23日生 × →BAD

姉のダノンファンタジーは、今年6月の新馬戦であのグランアレグリア(推奨済み)の2着したスピード馬で、彼女もゆうゆう重賞級の器。
よって誕生日を見た瞬間、残念ながら「裏馬」とわかる一例です。

 

第4位 ソーメニーウェイズの2017 牡

 

本馬だけはセール特集記事で「もうすぐトップテン圏内」として挙げた馬。

詳細は以下に譲ります。

▼セレクトセール2018 1歳馬最速診断 ハーツクライ編

価格が高い割にダート馬の懸念もあることなどから、本推奨に至らなかった1頭です。

スピードはある程度保証できます。

 

第5位 リッスンの2017

 


父 ディープインパクト
母父 Sadler’s Wells
落札価格 1億9千万円
落札者 トニー倶楽部 様

【判定】 非推奨
【その理由】 スピードサイクルが裏

 

3代母 Luv Luvin’ 77年4月20日生
2代母 Brigid 91年3月17日生 ○
母 リッスン 05年2月3日生 ○
(1月17日から3月17日良好)
姉 タッチングスピーチ 12年2月21日生 ×
兄 ムーヴザワールド 14年3月9日生 ×
本馬 17年3月4日生 × →BAD

このファミリーも「奇数歳→× 偶数歳→○」のサイクルですが、本馬はこれを明らかに外れています。

リッスンの優秀なスプリント能力は、2代母の超初期繁殖サイクルに当たったたまものです。

 

では世代随一の怪物をご紹介しよう

 

第2位 ミスセレンディピティの2017

 

牡 黒鹿毛
父 キングカメハメハ
母父 Not For Sale(亜)
落札価格 2億4千万円
落札者 小笹 芳央 様

【判定】 大推奨
【その理由】 ひとことで言って怪物だから

 

落札されたオーナーさんが「高すぎてめまいが止まらない」とコメントされていましたが、いや本馬はそれに値する超大物です。

3代母 Go for Win 90年9月23日生
2代母 Marca Registrada 99年8月7日生 (○)
母 ミスセレンディピティ 08年7月7日生 ○
(6月21日から8月21日、4月21日から6月21日良好)
本馬 17年4月1日生 ○

まず3代母までの各馬の生まれ年にご注目。
そうなんです、すべての種付け時に満点の9年間隔が刻まれているんです。

 

通常ですと母は南半球産馬ですから、北半球では毎年「○○歳半」のときに種付けされるものですが、本馬がやや遅生まれなのと、母が南半球では例外的な早生まれであることから、活性値マイナスαの必要がありません

よって基礎体力は驚異の84!
近年ではディープブリランテ(88)やマカヒキ(81)に匹敵する高さ。

都合3回のMAX活性継承は、スピード面でのアシストも計り知れません。
自身も5月初旬の種付けで母の超初期サイクルに属するなど、内包スピード要素は十分すぎるほど。

 

また代々の種牡馬の活性値がすべて異なることから、頭脳の明晰さもアップ。
さらに3代父Candy Stripes(1982)は17歳と5か月時の種付けでゼロ活性となり、RedGod系の気性難からも逃れています。

 

優先祖先は、キンカメの母マンファスかその母Pilot Bird(1983)。

初登場のPilot Birdは、芝10ハロンのリステッドを勝った馬。
余談ですが、今回の調査中に今まで不明だった父のBlakeney(1966)がMAX活性であったことも確定できました。(つまりキンカメの血統で一番強い影響があるのがBlakeneyってこと)

よって血統的には芝の二千あたりまでがめっぽう強く、そこから先は相手次第、ということになりそうです。
本馬の背中がさほど長距離仕様でないことも付け加えておきます。

とはいえ、ここまでくると同世代なら絶対能力でなんとでもなるクラスの大物。
オーナーさんも「かなりムキになって競りすぎた」と汗だくだったようですが、夢が現実になるといいですね。

 

こうなると逆に注目なのが「裏年のはずの2016産駒」。

馬名ミッキーセレンディ(牝2・栗毛・あの野口みずきオーナー)で池江厩舎所属予定だそうで、これがバンバン走ったら、私は目も当てられないことになります。
母系がすごいので新馬くらい勝っても全然不思議ではないですが…。

ええ、ある意味で今年一番気になる馬です。

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