▼いま日本で一番強い?3歳ダート馬・ルヴァンスレーヴの血統表を徹底解剖してみる

3歳馬が王者まで負かしたのにはビックラこいた!

先日の盛岡マイルCS南部杯(G1)で現ダート界最強馬として君臨するゴールドドリーム(牡5)を破った3歳馬ルヴァンスレーヴ

これまでも強い馬だとは思っていたが、すでにG1を4勝している歴戦の雄をいとも簡単に突破してしまうあたり、並大抵の器ではない。

とにかくこれで統一G1ばかりを3勝&パーフェクト連対継続中。

距離も馬場も不問の新星がこのまま年末の中央競馬ダート決戦・チャンピオンズCまでぶっこ抜いてしまうのか、大いに注目される。

 

まずは血統表を見ながら

ルヴァンスレーヴ(牡3) 2015年1月26日生まれ

父 シンボリクリスエス(1999)
母の父 ネオユニヴァース(2000)
通算成績7戦6勝

まずG1クラスの馬としてちょっと珍しいと感じるのは、父と母父の年齢が逆転していることだ。

これはひとえにSクリスエスが長い種牡馬生活を送れているためであって、ルヴァンスレーヴはその15歳時種付けだから、もちろん優性期の産駒にあたる。

いつも言うように劣性期には種牡馬というものはほぼ血統表上で何も仕事をしない(唯一、優先祖先を何代さかのぼるかを決める手立てにはなる)が、この親子はきちんと深い絆?で結ばれていると言えるだろう。

 

母系はフアンシミン系という日本で繁栄した一大ファミリーに属する。

近いところでは近親にサマーサスピション&ローゼンカバリー兄弟やホクトスルタンがおり、遠くを見渡すと障害の王者ブロードマインドラインクラフト(春変則2冠)、アドマイヤマックス(高松宮記念)、ソングオブウインド(菊花賞)など個性派の顔も見える。

この系統は現在に至るまで正しいサイクルを継承している牝馬が多く、いつまたスターが出てもおかしくないが、今年ここまでの2歳戦ではまだOK判定馬は出ていない。

 

サイクル、基礎体力も文句なし!

OK判定の話が出たので、いちおうルヴァンスレーヴのサイクルも記しておくと

ダイナフエアリー 83年4月30日生 き(×) よいサイクルは4月14日から6月14日まで
セプテンバーソング 91.5.5 ぐ○ 4.19〜6.19
オータムブリーズ 98.2.18 き× 2.4〜4.4
マエストラーレ 06.1.12 ぐ○ 12.26〜2.26★
ルヴァンスレーヴ(G1) 15.1.26 き(×) →ぎりBAD0日

というわけで、ルヴァンスレーヴは自身がぎりBAD0日、つまり悪いサイクルの最終日に当たっている馬で、これはもう半分どころか9割9分以上次のOKサイクルに入っているといっていい位置にある。

 

いつもクラブ馬紹介でぎりBAD判定はぎりOK判定よりよっぽど一発長打が期待できると申し上げているとおりの好例で、これがクラブ募集時は60万円×40口のしめて2400万円也だから、競馬ってやっぱりどこにお宝が眠っているかわからないものなのだ。

(募集時の立ち姿をPDFで見たが、言われてみれば涼しげな表情が印象的で、つるんとした肌つやもバツグンにいい。ただあからさまにダート馬だと書いてあるwww)

 

そして肝心の基礎体力はといえば、実母9歳時によるMAX活性1回含みの81★!

3歳馬だから言うが、これで芝を走れるんだったら文句なくダービー馬候補ディープブリランテマカヒキ級)であり、それでも予定通りデビュー戦をダートに下ろした関係者の決断というか彗眼には頭が下がる。

優先祖先はSクリスエスの父、Kris S.で、彼は世界中に活躍馬を広めたスーパーサイヤーの1頭。

距離や馬場を広くこなし、英国ダービーからBCジュヴェナイルまで、ありとあらゆるタイプの産駒を出し続けた。

だから決してルヴァンスレーヴはダートオンリーの馬ではないと思うが、こうして実質ダート界トップまで登り詰めた今となっては、そのタラレバ話は永遠に封印されることになろう。

 

ルヴァンスレーヴの血統最大の特徴は3代同族配合にある

さてここまで基礎的な点について見てきたが、配合そのものの大きな特徴としては

▼4代のうち3代にわたりTurn‐to系の種牡馬を付けている

ことが挙げられる。

 

基本的に同族の種牡馬をここまで重ねれば、おのずと得られる結果より弊害が気になる

かつてNorthern Dancerがそうであったように、いまやサンデーなどの大繁栄でTurn‐to系種牡馬も我が世の春。

野生動物のボス性を刺激し合って競走させる競馬というスポーツは、馬の「生き残らなければやられる」という本能をどこまでかき立てられるかがカギとなる。

そういう意味で同族の種牡馬産駒が同じレースであふれると、なぜか自然にお互い遠慮し合って決め手を欠く馬、最後までマジメにレースに参加しない馬が出る(これを広義に血のコンプレックスともいう)。

そして20世紀初頭のセントサイモン系や20年ほど前のNorthern Dancer系のように、世界のサラブレッドの半分以上を1系統の血で埋め尽くしたとき、ガタガタッと音を立てて一族の崩壊が起こると言われている。

 

「でも欧州ではいまだガリレオがキングオブサイヤーだし、Northern Dancer同士のクロス馬もたくさんいるけど」

その意見自体は否定しない(怪物フランケルの配合にも秘密がある)が、ではなぜに競馬先進国の欧州がサンデー産駒にこれほど熱い視線を送るかについても、よく考えてもらいたい。

そして、その同族配合の弊害を避けるもうひとつの答えがこのルヴァンスレーヴの配合中に眠っている。

 

サンデー系繁栄の集大成として出てきた象徴的存在

まずルヴァンスレーヴに3本あるTurn‐to系のうち、4代前のリアルシヤダイ(1979)については、父Roberto10歳時の産駒で活性自体がミニマムである上、母父がIn Reality(1964)という米の傍系血脈のため、リアルSは一昔前は「仕掛け型種牡馬」といわれていた。

仕掛けというのは、リアルS自身が傍系母父のIn Realityによって頭脳を刷新されており、その後1代にわたっては子どもにも同じく血の刷新を行う効果があること。(前回のウィンクスの母父プリンスローズ系も同様の意味。純血種のドッグブリーダーなどもこの手段を使うことがあるという)

そして2代父ネオユニヴァースはご存じサンデーサイレンス産駒であり、サンデーは毎回言うように父Haloの17歳時産駒でゼロ活性を継ぐため、Turn‐to系の影響がない

ここまで母系で用意しておかないと(カラクリを知らないと)、父にSクリスエスを持って来たときにただの冒険配合になってしまうのだ。

 

Sクリスエス自体はかなりTurn‐toが色濃く残る系統で、扱いには細心の注意が必要だが、そもそもTurn‐toは父Royal Chargerネアルコのゼロ活性産駒

Turn‐to系を配合に使うことは、今世紀に問題となったネアルコの血の飽和問題から逃れるひとつの打算的答えでもあった。

私はサンデーという種牡馬は20世紀に出るべくして出た傍流血脈の救世主と見ているが、こうして大成功を収めた日本では、Northern Dancerと同じ理由でそろそろ神通力が消えつつあるのだと思う。

だから次にサンデー系が活躍するのは、欧州なんでしょうね。

 

かなり脱線したが、ルヴァンスレーヴはTurn‐to系ここに極まれりの象徴的存在であり、後にも先にも一度にこんなにTurn‐to系を集めて成功する馬は今後一切出てこないと思われる。

この理論を知らない限りは…。

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