▼小倉記念2020 サトノルークスの母リッスンはなぜそんなに重いのか

マイラーの母リッスンからこうも重たい産駒が現れる理由

先週札幌の未勝利戦(13F!)をまたまた勝ち逃したタイミングハート(牡3・父ディープ)。キーファーズがセレクトセールで導入した2億円超の高馬だ。

母リッスンは現役時代、7〜8ハロンの芝で活躍したれっきとしたマイラーであり、いくらその父が欧州王サドラーズウェルズだったとしても、別にそこまで重たい十字架を背負ったわけではない。

ところが繁殖入り後に配された母のディープ産駒は軒並み芝のクラシック対応で、本当に1頭として「芝のマイルでよかったね」という馬がいない。

母リッスンがC/C型でないことはわかるが、C/T型の母とこれまたC/T型の父(ディープは直仔のスプリンター輩出をジャマしていないのでT/T型ではあるまい)を配合して、確率的にこんなにT型が強そうな馬ばかり出てくるものかと不思議に思うくらい。

そして今週末、小倉記念に出走予定のサトノルークスもまたC/T型を通り越してT/T型の気もあるほど、長距離適性に優れたリッスン産駒になってしまった。

なんでしょう、こういう偏った母からは絶対T型遺伝子が降りてくるパターンというのがあるんでしょうか?でむしろサドラー系が日本でまず1世代は苦労するのも、サドラーの直系1世代目には絶対にT型遺伝子が降りてくるから、というカラクリでもあるのか…そう考えるととても面白い。

まあまあそこはまた暇になったら調べるとして、ともかく遺伝子からは適性ギリギリと思われるローカルの10F戦に登録したサトノルークスに、果たして成算はあるのだろうか。

しかし小倉記念もちょっと変わった適性を要求する重賞

▼小倉記念過去の勝ち馬(その父)&優先祖先

09ダンスアジョイ(父ダンスインザダーク) 母〜トニービン
10ニホンピロレガーロ(父アドマイヤベガ) トニービン
11イタリアンレッド(父ネオユニヴァース) 母(芝中)〜フォルティノ〜
12エクスペディション(父ステイゴールド) 母〜Lady Angela
13メイショウナルト(父ハーツクライ)  母〜Dictaway(仏千ギニー)
14サトノノブレス(父ディープ)     ディープインパクト
15アズマシャトル(父ゼンノロブロイ)  Nashua(ダ中)
16クランモンタナ(父ディープ)     ディープインパクト
17タツゴウゲキ(父マーベラスサンデー) Singspiel
18トリオンフ(父タートルボウル)    ニジンスキー〜N.D.
19メールドグラース(父ルーラーシップ) 母、祖母〜ヌレイエフ

そこで過去10年ほど勝ち馬の血統を調べたところ、ローカル重賞にしてはちょっと変わった適性を必要とするレースであることがわかった。

まず1つ目。父は全力でT型遺伝子の強そうな馬を買いたい。

いいとこ一番軽そうな父がディープであって、他は誰が見てもダービーか有馬記念、春天を勝つほどの長距離砲。これは小倉の二千が配合の出口でT型遺伝子を欲していることの現れなのだろうか。T/T型の母にC型遺伝子の父ではダメなんだという強いメッセージ性が感じられる。

これだけならサトノルークス&リッスン親仔にも道は開かれているのだが、肝心なのが

2つめ。優先祖先は、ディープ、欧州系の芝馬、N.D.系で。

毎年このレースで(単に)グレイソブリン系が含まれる馬を買うという攻略法をよく聞くが、確かにテシオ流分析であっても11年まで3年連続してグレイソブリン系を優先に持つ馬が勝っている。

しかしさすがにトニービンの血も神通力がないだろう今日この頃、狙いたいのはディープを直接優先に持つ馬、欧州系の重い芝馬、最後にN.D.直系、この3パターンだろうと思う。

つまりなぜだかわからないけど、小回り→トラック→米系ダート優先有利に持っていきたくとも持っていけないのが小倉の二千であり、小倉記念だということらしい。(父馬もその系統じゃないし)

お、じゃあリッスンファミリーいいんじゃない?

ならば父ディープで母欧州系リッスンのサトノルークスは、どこから見てもバッチリ適性ありそうだが、どっこいそこまでうまい話は落ちていない。

母リッスンは母父サドラーではなく自分の優先がタッチの差で3代前のRaise a Nativeへ持っていかれる。(その先4代前のボールドラッドはゼロ活性の可能性がある)つまりサトノルークス自体の優先も祖母のLuv Luvin’からRaise a Nativeへと遡るらしい。これでは最近の小倉記念の傾向と合致しない。

リッスンはもっと軽い繁殖だと、ここからも思いたいんだけどなぁ。

では他の有力馬はどうなんだろう。

サマーセント(父ハービンジャー) ラインゴールド(欧芝)〜
ノーブルマーズ(父ジャンポケ) 母〜Fantine(亜)
ミスディレクション(父ミスキャスト) ミスキャスト→Porterhouse(米ダート)
サトノガーネット(父ディープ) 3代母ラキオーラ〜リファール?

まず有力なのは、前走でマーメイドSを勝ったサマーセントだ。父がハービンジャー、優先が欧芝クラシックのラインゴールド系なので、前走をあんまりフロック視しているとまた足元をすくわれそうな気が。夏は格より調子、牝馬ですからな。ハンデもまだ52キロ止まりで。

ノーブルマーズはアルゼンチン馬が優先だし、OP緒戦のミスディレクションはマイナー父のミスキャストが優先で「お、ひょっとしてこれがグレイソブリン系(ノースフライト由来)か?」と一瞬色めき立ったが、実は父のミスキャストは米系ダート優先なので、残念だけどやや狙いの中心からは外れる感じ。

ということで、大穴として挙げておきたいのが、サトノはサトノでもサトノガーネットの方だ。

父がディープでも優先じゃないけど、3代母ラキオーラが仏芝の中距離馬で、その先がリファール〜N.D.だから、いちおう合格圏内。なにより春はずっと条件の整わないレースを使ってきたので、ある意味全部度外視できる。

G3重賞ならドカ負けした経験もなく、なにより今回密かに有利なのが展開面の先行勢の多さ。確固たる逃げ馬はいなくともできれば2、3番手で折り合いたい馬が多数を占め、3角仕掛けのポイントが早まりそう。

当レースは09年ダンスアジョイを筆頭に、1角ブービー集団→4角10番手以内まくりあげの荒技が決まるレースでもある。ガーネットは中京・中日新聞杯の記憶が生々しくて長い滑走路が必要なスロースターターかに思われるが、事実函館でも4角10番手から一瞬の脚を使えているので、小回り自体は苦にしない。

手の合う坂井瑠星クンに久しぶりにお鉢が回ってきたので、ここは派手に一発ぶちかましてもらおう。

相手はサマーセントの先行粘り込みが本線だが、ダンスアジョイやドリームジャーニーの年のように追い込み同士のズブズブまで考えて、最後方が指定席の馬たち(アウトライアーズ、サラス、レイホーロマンス、ロードクエストら)の一世一代のツッコミにも注意しておきたい。

▼小倉記念2020 サトノルークスの母リッスンはなぜそんなに重いのか」への2件のフィードバック

    1. ありがとうございます。
      田舎のお盆はボンヤリ休んでいられないから、隙間時間でパパパッと書くと調子いいのかもw

Madama Lydia へ返信する コメントをキャンセル

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です