▼欧州現役最強マイラーもまた母のゼロ活性産駒だった 6.17

皇帝フランケルの再来と噂される優駿・バーイード

英国ロイヤルアスコット開催最初のG1レース、クイーンアンS(芝1マイル)をほぼ馬なりで快勝したバーイード(牡4・父シーザスターズ)。これで自身の通算成績を8戦8勝とし、現役ワールドベストホースの貫禄を見せつけた。

欧米、日本、芝ダート問わず、強いぞと噂される馬の配合はやはり気になるもの。クラブデータを作成しながらでもちょこちょこ脱線気味にネットを漁り「ほほー、こんな感じか」と一通り調べて、満足したらまたデータ作成に戻る、みたいなサイクルができあがっている。

しかしこのバーイードだけはちょっとスゴすぎた。いやレースでの安定感もさることながら、その配合内容がまたスゴい。ひょっとしたら海の向こうの大穴米ダービー馬にも通じるものがあるのでは…そんな気がしたので取り急ぎここへ書き留めておく。

バーイードの5代血統表

ご覧のようにバーイード(2018.4.8生)はかなり強い多重クロスを含む馬。NorthernDancerの5×5はともかく、ミスプロの4×(3×5)が生きているのが大きな特徴だ。

残念ながら父のシーザスターズは劣性期だから、バーイードは父の後継馬ではない。優先祖先は4代前父アラジの活性が強いことから3代母Rahayeb(英)になるが、アラジといえばYouTube動画でも「欧州古い形の典型例」として紹介した系統。これが今でも走っちゃうのが欧州競馬であり、またここが大切なのだが、裏を返せば

バーイードの持つ月のサイクルこそが100%「表」

と見ることができる。スピードタイプでない形を一流として走らせるにはどうしても母の力が必要で、それはアラジ〜バーイードのラインだけでなく、キンカメ〜ロードカナロアもそうだ。

ということで、次は月のサイクルを見てもらおう。

バーイード一族の月のサイクル

Highclere 1971
 Beacon Hill 78.4.30
 Height of Fashion逆 79.4.14 3.28〜5.28
  Alwasmi 84.2.19 き×
  Unfuwain 85.3.5 ぐ(×)
  Nashwan逆 86.3.1 き(×)
  Mukddaam 87.3.20 ぐ○
  空
  Bashayer 90.1.30 き× 1.13〜3.13
   Rahayeb 96.3.3 ぐ× 2.17〜4.17
    Lahudood 03.3.2 き○ 2.16〜4.16
     Aghareed 09.2.14 ぐ○ 1.28〜3.28
      空
      Hukum 17.4.2 ぐ×
      バーイード 18.4.8 き×

バーイードの6代母はあのHighclere。そう彼女はディープインパクトの3代母としても知られる名牝で、めちゃめちゃ遠いけれど日欧の怪物2頭は同じ牝系出身。そしてこのHighclere一族の表サイクルは、古い時代から8割方「き×ぐ○」とみてよく、ディープももちろん「き×」。

バーイード一族を順に見ておくと、5代母Height of Fashionは初回発情らしいが、残念ながらここでサイクルが動いたかどうかは不明。しかしこの母がまた超優秀で、Nashwan(英2冠、キングジョージなど)、Unfuwain(重賞4勝・種牡馬)など大物をつぎつぎに輩出、しかもみな「き×ぐ○」ぽいサイクル。

補足しておくとUnfuwainだけは「ぐ×」の裏自然サイクル馬である可能性が高い。種付け日は自然サイクル①回目の3月20日(84年はうるう年)近辺が最も可能性が高く、次の4月10日近辺種付けだと予定日からやや早く生まれたことになるので。

そしてNashwanにも初回発情の形跡があり、これは通常ならUnfuwain誕生3月5日の10日後、3月15日種付けの一大チャンスを活かした大物ではないかと思う。

…とまあその辺は今回の本題ではないのでさらっと見るとして、その後の母系には初回発情の形跡は見当たらないから、バーイードの母Aghareedまで「き×ぐ○」が表として継承されているはず。したがってバーイードのサイクルは悠々その中に入る「き×」で間違いなかろう。よって

バーイードは100%「表」の馬で、Highclere系の主流もまた「き×ぐ○」である

た・だ・し! バーイードの種付け日が例えば17年5月1日だったとしても、その当日はすでに母AghareedのMAX活性期を大幅に過ぎていることがわかる。母Aghareedの誕生日2.14から推測するに、遅くとも母は前年3月14日までには種付けされており、許されるMAX活性期の範囲は4月11日あたりまで。これには初回発情種付けでも間に合わない。したがって

バーイードは、母のゼロ活性産駒である

という結論になる。

再び降臨! 母のゼロ活性=母系クロス濃度極小説

今をときめく欧州最強マイラーが、まさかの母ゼロ活性産駒だなんて…そして今年活躍中の名馬としてすでに2頭目の母ゼロ活性産駒発見というのは、あまりにペースが早過ぎはしないか。この理論には何かがある…

となるとやはり疑いたくなるのが

母のゼロ活性による母系のクロス濃度極小化

である。

すでにご覧いただいたように、本来ならバーイードにはN.D.とミスプロの濃いクロスが生きており、彼にとってこれが全て無効になる効果は100%メリットでしかない。実際バーイードのレースぶりは「貴公子」ばりに安定していると評判で、勝つときもさほどぶっちぎる訳ではない。お利口さんなんですな。それが暴走皇帝フランケルとバーイードの最も異なる特徴かつバーイードの精神が抜群に安定していることを示す証拠でもある。

ただそうはいっても母のゼロ活性にこうまで意味を持たせるなら、一方で解決しなければならない混乱も出てくる。たとえば優先祖先の計算対象が変更されないかという疑問。ケンタッキーダービー馬Rich Strikeは父Keen Iceの優性期産駒で、他に優性な父がいない父似馬(4代父Search for Goldはゼロ活性)だから、計算上母系活性がすっからかんでも構わないが、バーイードはもともと父が劣性で母系アラジの活性が高い馬。それが母系活性ゼロにより、アラジの形はどこかへ飛んでいってしまうのか、そこは免除されるのかなど、どこかで線引きが必要になりそう。

まだ謎が多いこの「母ゼロ活性産駒」だが、面白いことが起きているのは事実。クラブデータを作成している時期でもあり、あれからさらに多くのサンプル馬が集まっている。すでにお手元にある方はご存じのように、今年のデータでは母ゼロ活性産駒は「皆さんに判断をお任せする」と記した。ドルメロの心変わりが漏れたような記述だが、来年はさらにグレー網掛け注意を止めてもいい気がしている。

とくにクロスのきつそうな馬、気性難の馬には何かいい効果がある気がするので、今後の調査データ蓄積をお待ちいただきたい。

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