▼過去20年の重賞勝ち馬種付けイベントを調べています

夏休みといいながら何をしとるのかwというお話

皆さんもご存じのように、今年の一口馬主クラブデータには、月のサイクルと種付けイベントが合体した「月の評価」を登場させ、少しでも成績が上がらないかという試みを行っている。

それにより、読者の皆さんの中にも「自然サイクル」や「空胎後」の概念が少しずつ根付き始め、また少しずつ実績となって現れてきたことは間違いのないところだ。

しかし春のクラシックが終わった頃から、私の頭の中にはすでに次の課題が見えていた。というか、ちょっと悔しい気持ちが広がっていたのである。

データ上の不備?がいくつかある

これも何度もお話ししているが、今年の皐月賞を制したエフフォーリアは、スピード的には「裏」ながら、自然サイクル②回目の種付け&22日付けで、月の評価が「C+」の馬である。

こういう馬を発掘できるところに月の評価の醍醐味がある一方、やはり日本ダービーでは、現代の生産の王道→バリバリの表馬「薬剤サイクル①回目」で生まれたシャフリヤール「A」の驚異のスピード、末脚に屈したわけで、できれば今後はこのシャフリヤールをダービーでエフフォーリアよりも上位と判断できるもの差しがほしい。

もちろん「A」>「C+」だからシャフリヤール上位としてもいいのだが、感覚としてはそういうことではなく、薬剤サイクル①回目「A」群の中からシャフリヤールだけを探す指標、他の多数の薬剤派と何が違うのか、それを知りたいということだ。

もう1点は、初回発情種付けに関する私の中の「呪縛」をいったん取り去ろうという試みである。

初回発情種付けは、生産法としては母馬の状態に細心の注意を払うべき方法であって、また受胎率的に見ても芳しくない方法であることはわかっている。

しかしその初回発情付けであっても、一度この世に生を受けてしまえば、類い希なる名馬となるケースがままある。

それは母体の負担とはまた少し違う視点で見るべきものかもしれず、現時点で私がやや評価を落とし気味なのは、多分に「母に対する慰労の念」が含まれてしまっているのかもしれない。(ただしJRAのデータで成績自体あまり良くないと発表されている点には留意)

もちろん私が配合に携わる際には、初回発情を勧めることはないけれど、だからといって初回発情種付け産駒が一律に月の評価「B」以下に甘んじるのもちょっと違うのかな、と思うのだ。

そこでやっぱりこちらの初回発情種付け群においても、その他大勢と名馬とでは何が違うのか、そこが知りたくなってくるのだ。

一覧表データを作っていると湧いてくる無力感

課題が見えてちょっと悔しい気持ち、と言ったが、実は一番悔しい気持ちになるのは、週末の競馬シーンそのものではなく、クラブの募集馬データ一覧表を作っているときだ。

募集馬の中に自然サイクル派が含まれる割合は、どう多く見積もっても2、3割がいいところ。今年はその中からめぼしい馬、血統的にも見どころのある馬を見つける作業に注力しているが、ということは裏を返せば依然「シャフリヤール」候補はそっちのけ(実際にはそんなことないけど)で物事を進めているともいえる。

薬剤派がその他多数を占める現状であるにもかかわらず、表裏以外、そこには未だにガツンと手を突っ込めずにいる……やっぱりこの現状はちょっと悔しいとしか表現できない無力感がある。

幸い3割の自然派に限りない可能性があることはわかったが、日本ダービーを薬剤派に獲られてしまう現状、私としては何か来年に向けて考えなければという思いが強くなっていた。

そこで始めたのが、タイトルにもある「過去20年の重賞勝ち馬種付けイベント」調査である。

過去の名馬たちの生い立ちをもう一度探る

オルフェーブルやアーモンドアイなど、近年の歴史的名馬に関しては、このブログ上でもちょこちょこ登場してもらっているが、やはりそれぞれ興味深いサイクルの下で誕生した形跡がある。

ならばいっそのこと、データで追えるだけ過去の名馬たちを追ってみようというのがこの調査の発端であり、それによって薬剤群と初回発情群の「良いとき、悪いとき、狙いどき」もつかめないかと期待している。

2000年からという舞台設定は、種付け日がわかる馬たちが走っている時代がちょうどその頃まで(だいたい94年産〜)だから。それより古いと、すぐには種付け日がわからない。

一見すると膨大なデータに思えるが、実はこの当時まだ外国産馬が強い時代でもあり、2000年の重賞勝ち馬でいうと約2割は外国産馬。また2000年はちょうどテイエムオペラオーが年間無双したり、複数勝ち馬もいて、意外に調査対象の数は少ない。もう少し現代に近づくと外国産馬も減り、自然とサンプル数が多くなると思う。

で、これをただ漫然とデータ集めするのではなく、私なりに仮説を立てながら、イベントの他にも重点ポイントを絞ってこんな調査をしている。

①初回発情は母の何回目の初回発情か(何回も試みた後はどうなの?)

②薬剤派の種付け日は母の基礎サイクルのどの辺に位置しているのか(早期という考え方、排卵短縮した際の扱い)

③実の母からもらった基礎体力値の高低は丈夫さに繋がるか(実母の値が高いとまあまあ走れる?)

④サンデー系に匹敵する優先祖先は他にないのか(隠れた日本適性系は?)

このあたりを十分に調べ、まず2000年版データを完成させ、それをひな形に翌年以降も同じポイントで名馬たちを追ってみたい。

②に関しては、これまでも仮説を立てたことがあったが、今回はまたまっさらな頭で臨むつもりだ。

こうなるとまるでドルメロ夏の自由研究みたいだが、今回は夏のうちといわずに長期戦を覚悟している。

しかし私の一番の望みは「種付けイベントにかかわらず、募集馬のすべてをある一定のデータで分析したい」という点にある。自然派の発見にとどまることなく、今後もドルメロ理論を面白い方向に、役立つ方向に進化させていきたいと考えている。

▼過去20年の重賞勝ち馬種付けイベントを調べています」への9件のフィードバック

  1. 質問です。
    東サラの有力コンテンツを以前購入したのですが、プラヤデシエルタ20は何故月の評価が表になるのでしょうか?
    プラヤデシエルタの仔は『き×ぐ○』の判断になるのでしょうか?
    素人みたいな質問ですみません。

    1. ユウキさん、こんにちは。
      コンテンツのご購入ありがとうございました。

      ただ申し訳ないのですが、個々の「○×」に関するご質問には、今後もお答えしかねます。
      私の意志でブログに挙げる分にはいいのですが、○×の理由は私の理論の根本に関わるためと、個々に応じるとキリがなくなってしまうためでもあります。どうぞご了承ください。

      でもせっかくご質問いただいたので、ひとつだけヒントを。
      プラヤデシエルタの仔の表は、いまのところ「き×ぐ○」でいいと思います。
      これからも少しずつ学んでみてください。

      1. 質問にお答えいただきありがとうございます!
        参考にさせていただきます。

        また、不躾な質問をしてしまい、すみませんでした。
        今後ともよろしくお願いします。

  2. こんばんは、いつもyoutube楽しく拝見しております。
    薬剤について私もいろいろ調べたりしていますが、ライトコントロールも相まってこれが自然なのか(特に空胎や流産後)悩むところですね

    分娩発情(初回)も母体への負担が高いとする文献もあるようですし、初回・2回・3回以降では翌年以降にも影響があってもいいような気はしてきますね

    追伸
    ディープの後継種牡馬の動画を拝見していて、エイシンヒカリ母の種付を確認すると5/17でしたので、MAX活性では無いかと思うようになりました。
    マイルから中距離なので、お考えにも近いなーと思いながら産駒を楽しみにしています

    1. ありゅさん、はじめまして。
      いつもご視聴ありがとうございます。

      今となってはその自然の定義も難しいです。
      私としては一から百まで「自然繁殖」しているなどと誤解されなければ、自然のサイクルの日付けが今でも大切だと理解されれば、それ以上は各自の線引きに任せてもいいのかと思います。おっしゃるように2月や3月の繁殖牝馬が本当にどのくらい目覚めているかも定かではありませんしね。かといって遅生まれは嫌われるっていうね。

      エイシンヒカリ産駒、もっと走ってほしいですね。
      走れば走るほど、ディープの仔じゃないかと期待してしまうのですが。

  3. そこに手を突っ込むのは凄いな。解明できたら無敵なんじゃないかな?膨大なデータしはべないとなりませんね。チームでやられた方が?

    1. 本当はチーム戦だと心強いです。でも手を突っ込んで何もなかったら悪いので、他人様は誘えませんw
      今改めてたくさんのデータを目にすることで、再び経験則が見えてこないかなと期待しています。

  4. 夏休みの自由研究お疲れさまです!

    薬剤①でも確かに大活躍する馬もいますが、何故活躍するかまでは皆目見当がつきませんし、これが分かれば大発見ですね(他力本願ですみません)

    確かコントレイルも薬剤①でしたが、シャフリヤールと共通するのはディープインパクト産駒ということ。ディープの神通力?で片付けられたら楽なんでしょうけど(笑)

    あとは月のサイクルが2頭とも早いところに位置してますよね。

    良い期間が始まってから2週間前後あたりのベストな位置と考えますが。

    それからエフフォーリアの月のサイクルですけど、私もずっと裏だと思ってたんですけど実は表ってことはないでしょうか?

    というのもkaties自体は「ぐ○」のサイクル。
    ケイティーズファーストはギリギリではっきりしませんし(個人的にはぐ×だと思ってる)、それ以降は「き○ぐ×」のサイクルになってるように思われますが、一番走っているkatiesが「ぐ○」なので元々はこのサイクルなのでは?と思ったりもしました。

    1. エフフォーリアの判定を難しくしているのは、母のケイティーズハート自身が姉誕生の「15日後」に種付けされているからです。
      初回発情はきょうだい誕生後の8〜12日後くらいに来るので、この15日という日数が何に属するのかが疑問です。
      私はこれを初回発情の例外版と見るので、母で逆転→エフフォーリアを裏としていますが、おっしゃるとおり基本的にケイティーズの系統は「き×ぐ○」を表とみたいです。出世頭のアドマイヤムーンが初回発情種付けの「き×」なのでね。

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